[原子力産業新聞] 2000年9月14日 第2054号 <4面>

[科技事業団] 可搬型の蛍光X線分析装置を開発

科学技術振興事業団 (川崎雅弘理事長) は、大阪電気通信大学工学部、谷口一雄教授の研究成果である「可搬型蛍光 X 線分析装置」を同事業団の委託開発制度の98年度課題として、理学電機工業株式会社 (大阪府高槻市) に委託して開発を進めていたが、このほど開発に成功と認定した。

蛍光 X 線分析は、X 線を検査試料に照射し試料中の原子の内殻電子を励起させ、この励起が緩和する時に放出される元素固有の X 線 (蛍光 X 線) を測定することにより、元素の特定及び定量を行う分析方法。従来の装置の多くは大型で屋内設置型であったため、蛍光 X 線分析装置の小型化を図ることによって屋外にも容易に持ち出すことができる分析装置の開発が望まれていた。

蛍光 X 線分析装置は X 線発生管、X 線単色化装置、X 線検出器及び信号処理系から構成されているが、今回開発された技術は X 線管の小型化、X 線の効率的な材料への照射システムの確立および半導体検出素子の性能向上などにより、従来と同等以上の測定機能を確保しつつ小型、軽量化に成功したものであることから、同技術による分析装置は、持ち運びが容易であるためフィールドでの元素分析 (工業製品の現場検査、環境計測、犯行現場での犯罪捜査など) への利用が期待されるという。


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