[原子力産業新聞] 2000年9月28日 第2056号 <4面>

[INSAF] 運営委設け本格軌道

JCO 臨界事故は、ウラン加工事業者が起こした事故という点で、我が国や世界の核燃料製造事業者にとっても衝撃が大きかった。

事故の後、原子力発電事業者が中心となった組織「ニュークリアセイフティーネットワーク (NS ネット)」が活動を始めているが、核燃料サイクル産業に携わる事業者も安全確保を最優先に事業を展開していこうと、「世界核燃料安全ネットワーク (INSAF)」として、自主的な活動を始めている。

昨年12月、核燃料加工事業関係者が互いに協力して核燃料サイクル施設における安全性を維持向上させるため努力することを確認したことが、INSAF 設立に向けた第一歩だった。

INSAF は、「世界中の核燃料サイクル事業者間の安全についての情報交換を促進し、職場における安全の重要性への認鐵を保ち、向上させる自由な意見交換の場を設けることで、世界的な安全文化の共有および育成すること」を目的としている。現在、会員は、日本および海外で核燃料の製造事業者と研究開発を行っている機関など8社。代表者も専任の事務局も置かず文字通り自発的な運営を行っている。

INSAF では数か月の準備期間を経て、今月中旬に運営委員会を正式設置。規約や情報交換の対象や手段なども含め今後の活動計画などを、インターネットによる電子会議室を利用して議論した。年内には最終的に取りまとめたい考え。

情報を交換していく対象としては当面、個別のトラブルが発生した際の状況と原因究明結果や対応策。その後段階的に、会員が有する施設の安全設計や安全管理体制、従業員の安全教育プログラムの安全確保対策なども情報を共有する対象に加えていきたいという。さらに将来的には MOX 燃料加工事業についても同様の活動を展開していきたいとしている。

こうした会員間の情報・意見交換のため、インターネットを積極的に活用、ホームページも近く公開の予定。


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