[原子力産業新聞] 2000年9月28日 第2056号 <6面>

[オルガノ] PWR復水脱塩装置用、陽イオン交換樹脂を開発

高い架橋度を実現

オルガノは21日、原子力発電所、火力発電所向け復水脱塩装置用の高機能陽イオン交換樹脂「Amberjet (アンバージェット) 1006 N/F」を、米国ローム&ハース社の日本法人と共同開発したと発表した。

均一粒径化技術の採用により、ゲル形樹脂としては非常に高い架橋度を持った均一粒径の強酸性陽イオン交換樹脂を実現した。母体構造はステンレス系、調和平均径0.63〜0.73ミリメートル、架橋度 (DVB) 約16%で、従来品に比べて約1.4倍のイオン交換容量があるのが特徴。採水収量が増加できるほか、高架橋度樹脂のためナトリウム選択性が高く、化学的安定性 (耐酸化特性) および物理的強度に優れ長期間の使用にも耐えられる。また、均一粒径樹脂のため陰イオン交換樹脂との分離性に優れ、再生薬品汚染の影響も小さい。

発電所では、復水の浄化を目的として、イオン交換樹脂が充填された復水脱塩装置が設置されており、これにより水質を常に高純度に維持し、蒸気発生器やボイラー、タービンなどの機器類の健全性を維持している。復水脱塩装置は、陽イオン交換樹脂と陰イオン交換樹脂を混合して使用するが、この陽イオン交換樹脂には、採水収量の増加や薬品再生低減、交換寿命延長 (コスト低減、廃棄物低減)、高純度水質を得るため、(1)高イオン交換容量(2)化学的・物理的安定性(3)高イオン選択性、分離特性 (対アニオン樹脂) −などの特性が求められていた。

同社では、新樹脂を従来 PWR や火力発電所向けに販売していた Amb 200、201B や XT1O06 の後継樹脂と位置づけており、今後順次置き換えていく予定。今年度140平方メートル、次年度150平方メートルの販売を見込んでいる。


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