[原子力産業新聞] 2000年10月5日 第2057号 <2面>

[防災訓練] 東海村で原子力防災訓練実施

地域住民が参加し意識向上はかる

茨城県東海村では、JCO 臨界事故からちょうど1年を迎える9月30日、村、村議会、原子力関係事業者、ならびに地域住民が参加して、大がかりな原子力防災訓練が実施された。

今回の訓練は、災害対策基本法、原子力災害対策特別措置法および地域防災計画に基づき、災害時の関係機関の迅速な対応と協力体制の強化ならびに、住民の防災意識の高揚を目的として行われたもの。

村では訓練を実施するにあたって、(1)災害対策本部の設置・運営に関して迅速な初期活動の確認(2)住民や関係機関への迅速かつ正確な情報伝達方法の確認(3)避難実施への適切な対応と住民の防災に対する理解を高めること−などを主要訓練項目として設定した。

訓練では、午前8時30分に日本原子力発電東海第二発電所で冷却系に異常が発生し、放射性物質が放出されるおそれがあるとのシナリオを想定。10分後に同発電所から村に事故通報が入ったところから訓練が開始した。通報を受けての災害対策会議の招集やオフサイトセンターへの職員派遣に始まり、同センターからの緊急事態発令により村上達也村長を本部長とする災害対策本部の設置など、まず災害発生直後の初期活動が迅速に行えるかどうかを確認した。

さらに、昨年の臨界事故では、村民への広報の仕方がひとつの反省点となったことから、どのように住民に事故発生に伴う一連の状況説明や避難指示等を的確に行うかも訓練のねらいとされた。

今回初めてサイレンを鳴らすとともに英語での住民広報も試みられた。避難の対象となった住民らはバスで指定されたコミュニティセンターに移動。関係者から、これまでの国や事業者の原子力防災への取組みについて、真剣な表情で説明を受けた。

訓練終了後に行われた会見で、村上村長は記者団に対し「原子力のことだけを考え続けてきた思いがする」とこの1年間を振り返り、「自らが自らを守るとの姿勢で9月30日を原子力防災の日として、毎年何らかの防災活動を継続していきたい」と語った。また、東海村の今後の課題として、原子力安全モデル自治体となるよう、村の責務としてしっかりした原子力安全・防災対策を講じていきたいと発言。

さらに、住民の間には村が原子力一辺倒でよいのかとの意見があることに触れたうえで、「原子力を基本とした高度科学研究都市を目指すとともに、新エネルギー等の研究開発の役割も担っていきたい」との考えを示した。


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