[原子力産業新聞] 2000年10月12日 第2058号 <3面>

[インド] カイガ1が初臨界達成

原子力設備、さらに拡大へ

インド西海岸のカルワル近郊で建設されていたカイガ原子力発電所1号機 (22万kW、加圧重水炉) が9月26日に初臨界に達した。

同国で13基目の原子炉となったカイガ1号機では、94年に格納容器内壁の作業中に土木事故が起こったため建設工事が遅延。

昨年秋に同じサイトの2号機 (22万kW、加圧重水炉)が先に初臨界を達成している。1号機が年内に営業運転を開始すれば、インドの原子力設備容量は 244万 6000kW になる計算だ。

インド原子力公社 (NPCIL) のV.チャツルベディ会長によると、インド政府は今後も原子力設備をさらに拡大していく計画で、2020年時点で2000万kW の設備が確保できるよう、カイガ3、4号機 (各22万kW、加圧重水炉 2基) についてもほどなく認可を発給する見通しだという。同会長はまた、電力消費量の増加に歩調を合わせるには毎年1500万kW 分の電源を追加していかねばならないとの国情を説明した上で、「原子力なら初期段階で年間50万kW、将来的には年間100万kW づつ増設していくことも不可能ではない」と指摘。同国が大規模電源としての原子力発電に大きな期待を寄せていることを明らかにした。

その一方、チャツルベディ会長はインドの原子力産業が抱えているいくつかの課題についても言及している。まず、原子力発電をやる以上、設備利用率80%程度の安全かつ信頼性の高い操業を続ける必要があるとの認識を表明。さらに、資金、訓練されたマンパワー、国内での製造能力増強の3つが重要不可欠で、最初の2つまでは NPCIL の力で管理できるとしても、3つ目については国家レベルでプログラムを作り、努力を傾注していくほかはないとの考えを示している。

インドの今後の原子力開発計画として同委員長は、タラプール発電所3、4号機 (各50万kW、加圧重水炉) を2006年までに完成させるとともに、クダンクラム発電所 (各100万kW、PWR 2基) およびラジャスタン発電所の後続ユニット (50万kW の加圧重水炉 4基) についても来年から作業を開始したいと述べた。さらに、カルパッカムで2010年までに高速増殖炉を2基完成させる計画も進められていると強調している。


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