[原子力産業新聞] 2000年11月9日 第2062号 <1面>

[原子力委員会] アジア原子力協力フォーラム、タイで10日から開催

新体制のもと実効的協力へ

原子力委員会が主導して進めているアジア地域の原子力協力の具体化に向けた第1回「アジア原子力協力フォーラム」が、10日から14日の日程でタイ・バンコク市で、タイ科学技術環境省との共催で開催される。昨年まで10年にわたり実施されてきた「アジア地域原子力協力国際会議」の体制を改め、初めて「フォーラム」として参加9か国の代表が一堂に会し、これまで以上に実効的な原子力協力をめざした意見交換を図る。


原子力委員会は近隣アジア地域協力の具体化に向けての意見交換・情報交換を図るため、同地域の原子力関係者が一堂に会し、地域協力に関する関係各国のコンセンサス作りの場として1990年より毎年「アジア地域原子力協力国際会議」を開催してきた。昨年3月の第10回会議において、名称を「アジア原子力協力フォーラム」に改称するとともに、協力体制の強化と会議をわが国とその他参加国とで交互開催することが合意されたのを受け、今回タイで「フォーラム」として初めて開かれることになった。

同フォーラムへの参加国はわが国をはじめ、オーストラリア、中国、インドネシア、韓国、マレーシア、フィリピン、タイ、ベトナムの9か国で、IAEA もオブザーバー参加が予定されている。このうち、共催国のタイ、中国、インドネシア、マレーシア、フィリピンは閣僚級の代表が参加する見込み。わが国も大島理森科学技術庁長官が出席する方向で調整を進めている。

10日に行われる上級行政官会合では、わが国から現在策定中の新原子力長期計画に関する特別講演を行うほか、フォーラム戦略計画の起草や共同コミュニケをめぐって討議がなされる。

13日には大臣級会合が催され、アジアにおける原子力の将来と安全性を基調テーマに、各国代表参加者による発表と戦略計画の採択、原子力利用の推進や原子力安全、今後の原子力協力の進め方を議題とした円卓討議が予定されている。わが国から、アジア地域の健全な原子力利用に資する人材養成を図るため人的交流制度をフォーラムの重要な活動のひとつとして位置づける提案や、医療用 RI を簡便な方法で製造する技術プロジェクト等を提案する見通し。また、タイなどで問題となった廃棄された RI 線源での事故を防止するため、これら線源の安全管理に関してもわが国から議題として取り上げるものとみられる。


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