[原子力産業新聞] 2000年11月9日 第2062号 <1面>

[原子力部会] 高レベル廃棄物処分専門委を設置

手続きの透明性など評価

総合エネルギー調査会の原子力部会 (部会長・近藤駿介東大教授) は8日、第77回会合を開催し、11月1日に施行された特定 (高レベル) 放射性廃棄物最終処分法の施行状況および、原子力の技術基盤確保について議論が行われた。

特定放射性廃棄物最終処分については、10月18日に原子力発電環境整備機構 (原環機構) が設立されたのに引き続き、今月1日に、資金管理主体として「原子力環境整備センター」が認可されるなどしているが、会合では事務局からこれら現状が説明された後、 (1) 特定放射性廃棄物処分地選定に関する手続きの透明性確保のための評価・提言 (2) 概要調査地区などの選定結果に関する科学的妥当性の評価−などを行うための、原子力部会に属する第三者機関、「高レベル放射性廃棄物処分専門委員会」 (専門委員長・森嶌昭夫地球環境戦略研究機関理事長) の設置が議事にかけられ、承認を受けた。今後森嶌専門委員長は近藤部会長とともに、高レベル放射性廃乗物処分に関する社会的および技術的側面についての学識経験者 (6〜8名) の選定を行う。

引き続き行われた、原子力技術基盤の確保についてでは、事務局側から、わが国の原子力技術基盤 (原子力技術の成熟化と電力自由化進展への対応、核燃料サイクル・原子力技術・技術開発・人材供給の現状、技術と安全規制との関係) について、欧米諸国との比較をまじえながら説明がされた。また、これらに加えて「増加する保守作業に対応し、欧米と比べても優れた運転実績を維持している」「運転技術や設計・製造技術は高い水準を維持している」などといった現状評価および、わが国の原子力技術基盤を中・長期的にも高水準で維持していくための対応策が、 (1) 主な技術分野ごとの方向性 (2) 技術開発の推進 (3) 安全基盤との関係 (原子力安全・保安部会への提言) (4) 人材の確保・育成−の分野でそれぞれ示された。

これら報告に対して委員からは、「現状分析にもっと危機感を持つべきではないか」などの指摘がなされた。


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