[原子力産業新聞] 2000年11月9日 第2062号 <5面>

[原研] 核融合の成果報告会

「科学技術へ貢献」

日本原子力研究所は7日、東京・千代田区の東京国際フォーラムで成果報告会「核融合研究の進展と拡がり」を開催した。

会では同研究所の松田慎三郎・那珂研究所長が「科学技術への貢献−核融合」について講演し、ITER 炉の建設にむけ、要素技術開発が成果をあげている状況などを報告。また、核融合プラズマ研究が木星大気の乱流等の研究に寄与している例や、超伝導コイルが最新の診断装置、高性能顕微鏡の技術に波及している例を示し、「先端産業をはじめとする広範囲の技術分野への貢献を果たしている」と強調した。

また、ITER 開発室の森雅博計画管理グループリーダーは「ITER 開発の最前線−その実現に向かって」について報告した。同氏は、核融合炉実現に中核的な技術開発要素である実規模の超伝導モデルコイルを使った性能確証試験等が目標性能を達したなどの状況を述べ、来年早々にもはじまる ITER 建設サイト協議にふれ、「日本への誘致」に期待を示した。

続いて核融合工学部の奥村義和 NBI 加熱研究室長は「粒子と波を操る技術−核融合から産業応用へ」と題して報告し、主に核融合プラズマ研究が新たな産業技術へと波及している状況を述べた。同氏は、プラズマを加熱するために開発されたメガワット級の負イオン源や高周波を使うジャイロトロンの開発が ITER 技術の進展に寄与したとするとともに、これらイオン、高周波の最新技術が最新の半導体基板として、あるいは太陽電池の素材として応用が進められている、さらに大気圏外からソーラー発電のエネルギー伝送を支える技術として期待されている状況を紹介した。


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