[原子力産業新聞] 2000年11月16日 第2063号 <1面>

[MOX燃料] MOX燃料加工事業化が決定

六ヶ所村への立地前提

沖縄電力を除く電力9社および日本原子力発電は10日、日本国内でのウラン・プルトニウム混合酸化物 (MOX) 燃料加工の事業化を決定するとともに、再処理施設との設備共有化が図られるため経済的に有利な上に、原料 MOX 粉末輸送を安定的に輸送できるなどの理由から、日本原燃に対して青森県・六ヶ所村への立地を前提に、MOX 燃料加工の事業主体となるよう要請した。太田宏次電気事業連合会会長が同日の会見で明らかにしたもので、計画では工場の製造能力は最大年130トン、そう工事費は約1200億円が見込まれており、再処理工場の操業開始 (2005年7月) から3〜4年後の操業開始を目指す。


10日の会見で太田電事連会長は、「わが国で、真にウラン資源を長期に渡って経済的で安定したエネルギー資源として確保するためには、国内で自主的に原子燃料サイクルを確立することが必要であり、私どもとしても、その確立に向けて全力をあげて取り組んでいるところだ」と述べ、国内での MOX 燃料加工事業化の必要性を、あらためて強調した。

かねてより国内での MOX 燃料加工の事業化に向けて調査・検討を行っていた電事連は、一昨年10月から日本原燃に対し、国内外の技術調査や安全対策、施設の概要などについて、より詳細な調査・検討を依頼して進めていた。その結果、(1) 国内外の MOX 燃料加工技術およびウラン燃料加工技術を適切に採用することにより、十分な安全性と信頼性を確保できる (2) 経済性についても試算の結果、海外の同規模の工場建設費推定値と比べて遜色ない−との結論に至ったことから、事業化は可能と判断した。

また工場の設置場所としては必要な敷地面積が確保できることや、安定した地盤があること、建設・操業に適したインフラが整備されていることを基本要件とした上で、さらに原料、製品輸送の安定性と経済性、既存施設との設備共有化による建設費の低減も勘案した。その結果、原料 MOX 粉末輸送の安定性と経済性 (再処理工場と MOX 燃料加工工場を地下で繋げることにより、原料 MOX 粉末を安定的かつ経済的に輸送できる) および建設費低減の観点 (既存設備との共有化による建設費の低減) などから、六ヶ所村再処理工場内の隣接地点が最適と判断し、同地点への立地を前提として、日本原燃に事業主体となるよう要請した。

計画されている加工工場の製造能力は、最大130トン/年。これは再処理工場で1年間で回収される MOX 粉末を原料に、将来の変動要因を考慮しても全量 MOX 燃料に加工出来る容量として設定された。操業人員は、約300人を見込んでおり、燃料製造に必要となる MOX 粉末を確保する観点や工場建設に要する期間などから、2005年の再処理工場操業後、3〜4年後の操業開始を目指す。


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