[原子力産業新聞] 2000年11月16日 第2063号 <1面>

[アジア原子力協力フォーラム] タイで第1回会合開催−アジア地域協力の理念を確認

実効的プロジェクト推進へ

原子力委員会とタイ科学技術環境省が共催する第1回「アジア原子力協力フォーラム」が10日から14日の日程で、タイのバンコクで開かれ、フォーラム加盟9か国の閣僚級や上級行政官による会合で、近隣アジア地域における今後の原子力協力の具体的方策などを討議した。

フォーラムは、原子力委員会が提唱し進めてきた同地域の原子力協力実施の枠組を強化し、さらに実効ある協力を目指して昨年新体制として発足したもので、今回がその第1回目。フォーラムの将来の方向性を確認するうえでも重要な初会合となった。

13日の大臣級会合には、わが国から大島理森科学技術庁長官のほか、中国、インドネシア、マレーシア、フィリピンより原子力担当大臣が出席。大島長官は会議の冒頭、「発展著しいアジアで大きな可能性を秘めた原子力平和利用のニーズが高まるのは当然」だとし、フォーラムは「原子力の健全な利用を目指し、安全確保と平和利用を前提に、原子力技術に関する参加国のパートナーシップを通じ、社会経済の発展に貢献する目的で協力体制の強化を図りながらスタートした」と挨拶した。さらに、アジア地域の原子力政策対話を通じて強力プロジェクトを推進していくため、今後もその発展に取り組んでいきたいと強調した。

中澤佐市科学技術庁原子力局長は、フォーラム体制下での強力活動を報告し、研究炉利用、放射線の医学・農業利用、放射性廃棄物管理、安全文化といった7分野での主要活動と実績を紹介するとともに、各国でコーディネータやプロジェクトリーダーがそれぞれ選任され、実務的協力を体系的に行っていることも説明した。この後、フォーラムの協力活動7分野における政策提言と3か年計画をまとめた「戦略計画」が報告・承認された。

また、大臣級円卓討議では、原子力利用の推進、原子力安全、参加各国による原子力協力の推進−の議題について意見交換が図られ、共同コミュニケを採択した。「アジア地域が、限りある資源と環境保護・保全の必要性に対峙しつつ、高い経済成長を維持するためには、原子力技術を効果的に利用することが地域にとり有益である」とする協力の理念を確認。あわせて、明確な社会的効果が期待される多くのプロジェクトを立案・実施するよう一層協力することや、各国内で地域協力活動を支援するシステム確立に向け努力することでも一致した。


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