[原子力産業新聞] 2000年11月16日 第2063号 <2面>

[日韓原子力学会] 熱流動などテーマに福岡でシンポ開催

日韓の原子力学会主催による「原子炉熱流動と安全に関する第2回日韓シンポジウム (NTHAS2) 」が、10月15日から18日の日程で福岡市内で開催された。

これは、日韓の技術交流促進の一環として、両国の原子力学会熱流動部会が運営し、2年ごとに日韓で交互に開催するもので、第1回は2年前の10月に韓国釜山で開催されている。

今回の NTHAS 会議は第1回と比べ、参加者数が100名から136名に、発表論文数も77件から114件と大幅に増えた中での開催となった。技術論文の他に、九州電力の福永常務による「我が国の原子力発電の現状と将来計画」についての基調講演があり、日本の原子力発電の状況を知る上で韓国側から好評を博した。また、韓国側からはソウル大学の朴教授による「熱流動・安全研究の現状と将来計画」についての基調講演があった。

今回の発表論文の内容から、日韓両国における熱流動・安全の研究動向として次のような特徴がみられた。

(1) シビアアクシデント研究の成果発表が全体の18%を占め、依然として最も多かった。シビアアクシデント時の挙動は、今回の発表を含めてかなり解明されてきたが、まだいくつかの課題が残されていることも指摘された。その他、現行炉を対象とした安全解析及び安全解析コードの開発、次世代炉・将来炉の概念などの分野で多くの発表があった。

(2) 新しい流動解析モデルの開発も日本では活発になされているが、韓国では既存解析モデル・コードを利用した実機解析に重点が置かれていることが明らかになった。

(3) 韓国では、二相流の流れ挙動の計測や高温計測など、計測法に係る基礎実験や熱流動挙動の基礎実験等、地道な研究も着実に進められていることがわかった。

なお、次回会議 NTHAS3 は、2002年の秋に韓国で開催される予定。


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