[原子力産業新聞] 2000年11月16日 第2063号 <3面>

[台湾] 第4原発めぐり政局が混乱状態に

先月27日に台湾の張俊雄・行政院長 (首相) が第4 (龍門) 原子力発電所 (ABWR 2基、各135万kW) の建設を中止するとの内閣決定を発表して以来、台湾ではこの問題をめぐって政治的な混乱が続いている。

張行政院長の発言を受けて台湾電力は建設作業の主契約者であるジェネラル・エレクトリック社に作業の一時停止」を通達した。実際に同プロジェクトを中止するには、陳水扁総統の民進党が少数派である立法院 (国会) がこの内閣決定を承認する必要があり、台湾原子力委員会は「この段階ではプロジェクトが中止になったとは言えない」と強調している。

現在、立法院では、今年3月に政権を奪われた国民党を始めとする野党三党で全220議席中141議席を占めている。これまで原子力開発を進めてきた国民党は、内閣決定は同発電所への建設資金供給を定めた96年の立法院決定を侵しており、憲法に違反する無効の判断だと主張。陳総統を弾劾する動議の提出も示唆している。しかし、総統への不信任決議によって新たに総選挙が実施された場合、国民党が議席を失う可能性もあることから、プロジェクト復活を目指して他の2党との連携を強めるため野党間の会合を近々招集すると見られている。

なお、民進党の陳哲夫・議長は「多数の立法院議員からの信頼が失われれば内閣は総辞職すべきだろう」と発言しているほか、陳総統もこの件に関しては「立法院の判断を尊重する用意がある」との考えを明らかにしたと伝えられている。


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