[原子力産業新聞] 2000年11月16日 第2063号 <3面>

[カナダ] ウラン資源開発状況で報告書

「生産は新規鉱山にシフト」

カナダの天然資源省は先月、国内のウラン鉱供給能力を包括的に調査した結果、「価格の下落に伴い生産量も低下する一方、新しい鉱山での生産に主力が移りつつある」との実態が明らかになったと発表した。

同省がまとめたのは99年末時点の国内ウラン資源埋蔵量や探査状況および総生産量と新規ウラン鉱の開発状況など。99年は生産量削減計画の影響で年間の総生産量は98年実績から25%減の8,214トンに留まったが、世界全体では全生産量の27%を占めるなど、カナダは第1位の座を維持している。輸出契約に基づくウランの平均供給価格は前年実績から4%下がって49.10カナダドル/キログラムUとなったが、この下落は U308 でポンドあたり0.60米ドルに相当しており、この年の市場スポット価格低下を一部反映した形となった。

天然ウラン在庫の大量販売は99年全般を通じて価格を押し下げ続けたが、同省は長期的な市場予測では楽観的な見方を変えていないと強調。高品位の新しいウラン資源の開発はカナダの生産業者が将来のウラン市場でも好位置に付く機会を捕らえることを意味すると指摘した。

また、潜在的な追加ウラン資源の発見や産業界の投資を促す政策により、カナダは今後も競争力のある、信頼できる供給者としての地位を維持すると予測。世界レベルのウラン鉱探査でも、その大部分がカナダ−主にサスカチェワン州北部のアサバスカ盆地で実施されていると指摘しており、品位の高さやコストの安さなどで国際的探査への投資意欲をかき立てることになるとの見解を示した。

また、ウラン鉱山ごとの操業状況については、同省は次のような結果を明らかにしている。すなわち、99年はマックリーンレイクの製錬工場が7月に操業を開始し、順調な稼働により年内だけで560トンのウランを製錬した。マッカーサーリバーの高品位のウラン鉱を処理するために実施したキーレーク製錬工場の改造工事は10月に完了。これを受けてマッカーサーリバー鉱山では同12月に試験生産が開始されており、2002年までには年間生産量6,900トンを達成できる見込みだ。シガーレイクでの試掘および開発も継続中で、2003年の操業開始を予定している。

さらに、天然資源省の評価によるカナダの既知資源の総量は今年1月時点で41万7,000トンUとなっており、98年の評価実績である43万3,000トンUを下回った。総量の86%はキログラムUあたり50ドル以下で回収可能と見積もられている。

カナダで大がかりな探査プログラムを実施する企業の数は減少しているものの、先進技術を駆使した探査計画に費やされる投資額はここ数年で最高レベルに達している。ただし、探査費が5,000万ドルを超えていても、そのうち大半は生産認可の発給を待つ間の設備維持費で占められることが多く、実際に現地で行う基礎的な探査にかかる費用は1,500万ドル単位と見られている。サスカチェワン州だけを見ても探査費用は1,400万ドルに達している。5,000万ドルの内訳けは実質的にカメコ社など大手3社による投資であることが明らかになっている。


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