[原子力産業新聞] 2000年11月23日 第2064号 <1面>

[サイクル機構] 再処理事業を再開

民間への移転視野に

核燃料サイクル開発機構・東海事業所の再処理施設が20日午前、3年8か月ぶりに運転を再開した。

この日は、運転再開の最初の作業として、JCO 東海事業所から運び込まれていたウラン溶液約20キロを分析所の中間貯槽から分離精製工場の調整槽まで移送する作業を行った。

分離精製工場中央制御室では、午前10時過ぎに当直長が溶液受け入れのための槽を空の状態にするよう指示し、約10分後に作業が完了。続いて、液移送開始の指示がなされ、10時55分には、液量計が徐々に増加を示すのを職員が確認し、長い間待たれていた運転再開となった。

中央制御室には、茨城県、東海村のほか、隣接する自治体の関係者が入り、運転再開の様子を見守った。

同再処理施設は、今月27日までウラン溶液の処理作業を行い、その後は新型転換炉「ふげん」の使用済み燃料約2.8トンを処理する。

今月10日、県と村から運転再開を了承する回答書が出されたが、再開の条件として両者からサイクル機構としての見解を求められた意見書に対して、都甲秦正サイクル機構理事長は、「地元住民の生活に重大な影響を及ぼす事故を再び繰り返した場合には、事業の存続はないとの強い決意」を回答書の中で示した。

サイクル機構は今後、民間への技術移転を見据えながら、安全を最優先に、高燃焼度燃料やプルサーマル計画を視野に入れ再処理技術開発を進めていくことが求められる。


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