[原子力産業新聞] 2000年11月23日 第2064号 <2面>

[サイクル機構] 幌延町と深地層研究の協定を締結

年度内にも現地で準備調査

核燃料サイクル開発横構は16日、北海道ならびに幌延町と「幌延町における深地層の研究に関する協定」を締結した。

署名は科学技術庁において、都甲秦正サイクル機構理事長、堀達也北海道知事および上山利勝幌延町長の間で行われ、中澤佐市科技庁原子力局長が立会人となった。

10月14日に堀北海道知事が、道議会予算特別委員会で、「放射性物質は持ち込まない」との条件付きながら、深地層研究所の建設受け入れを表明したことを受け、3者が協定を取り交わしたもの。これにより、計画が具体的に動きだすことになる。

協定は、研究実施区域に研究期間中および研究終了後にも放射性廃棄物の持ち込みや使用をしない旨を明記しているほか、研究終了後は施設の閉鎖や埋め戻しについて規定している。さらに、積極的な情報公開や研究内容の説明を十分に行うことに加え、研究所を広く国内外に学術研究の場として提供するよう求めている。また、地元が懸念する風評被害を未然に防止するための措置を協議することも盛り込まれた。

サイクル概構では当面、工学貯蔵施設計画の白紙撤回以降、2年間にわたり閉鎖していた現地事務所を再開する準備を進めていくことにしている。

続いて年度内をめどに初期調査として空中からの調査や地表からのボーリング探査に着手する方針で、今後詳細計画を立てていく。地下水や動植物の環境調査も順次行っていくとしている。幌延町内のどの地点を研究所建設地とするかも十分な検討を要する課題となる。

今回締結した協定に基づいて、当面の計画を整えた後には、幌延町全域や深地層研究所建設に反対してきた周辺自治体に対しても研究計画の説明会を開き、理解を求めていく方針だ。


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