[原子力産業新聞] 2000年11月23日 第2064号 <3面>

[欧州] 最終処分場問題、「政治情勢が障害に」

欧州諸国の原子力発電関係者を集めて開かれた放射性廃棄物の管理に関するセミナーで、「技術的に安全で、経済的にも実施可能な最終処分を阻んでいる最大の障害は政治的な決定だ」との結論が出されていたことが6日付けの報道で明らかになった。

このセミナーをブリュッセルで開催したのは欧州の電気事業者団体であるユーレレクトリック (Eurelectric) と欧州委員会 (EC) の運輸・エネルギー総局 (TREN) 。声明の中でユーレレクトリックは、「放射性廃棄物問題を解決する方法は確かに存在する。そしてこれと結びついている問題点は技術的、経済的なものというより政治的でコミュニケーションに係わることなのだ」と指摘。「原子力発電の将来は廃棄物とその最終処分に関して一般市民の合意を得られるかどうかにかかっており、それが処分場サイトを選定する政治的判断に影響を及ぼす。こうした判断が遅れれば、それは一般市民の不安をさらに煽ることになり、事態を悪循環に陥らせている」との認識を表明した。

同セミナーでは、現在の暫定的な解決方法に反対意見の EC 環境総局のD.テイラー委員が、「サイトさえ確保できれば高レベル廃棄物を安全に最終処分することは既に技術的にも経済的にも可能」と述べ、深地層処分の典型的な手法として構造が非常に安定した岩盤や岩塩坑の例を挙げる一方、欧州では未だに、それらのどこも永久処分サイトとして承認されていない事実に言及した。


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