[原子力産業新聞] 2000年12月7日 第2066号 <1面>

[省庁再編] 原子力行政に新布陣−文部科学大臣は町村氏

平沼氏は再任、経済産業相に

来年1月6日の中央省庁再編を控えて、第二次森改造内閣が5日発足した。文部科学大臣 (文部大臣、科学技術庁長官) には町村信孝衆議院議員が就任、また経済産業大臣 (通商産業大臣) には平沼赳夫衆議院議員が再任した。

科学技術庁に初登庁後、記者団との会見にのぞんだ町村大臣は、「子供たちが夢と希望をもてるような科学技術政策を進めたい」と抱負を述べた。また、原子力発電に関して「商業ベースでは唯一の国産エネルギーと考えている」との基本認識を述べ、「安全性に十二分に配慮し、廃棄物問題を含めて (核燃料) サイクルを完結することが必要」として、原子力利用推進への決意を示した。

誘致問題が焦点になっている国際熱核融合実験炉 (ITER) について町村大臣は「資源の少ない日本が最も開発の必然性が高い」として前向きに取り組んでいく姿勢を示す一方、「誘致を地域振興の側面だけでとらえているきらいもある」などとし、原子力発電との質的な違いも踏まえた正確な議論を行うべきとの考えを述べ、内外の意見を聞きながら総合的な検討を進めていく方針を明らかにした。

運転再開が議論となっている「もんじゅ」については「FBR はサイクルの一環として、それがなければ画竜点睛を欠く。私としてはどうしても必要なものと考えている」とし、運転再開には地元の理解を得ることが前提になるとの考えを述べた。

町村信孝 (まちむら・のぶたか)氏

北海道出身。文部政務次官、文相、教育担当首相補佐官を歴任。56歳。


通産大臣に再任された平沼赳夫大臣は、初登庁後の会見で「引き続き任命されたことについて、責任を痛感している」と、再任の感想を述べた。

また省庁再編にともない、通産省は経済産業省となるが、そのことについて同相は、「名実ともに、この国の経済の責任を持つことになる。(通産相としてやってきた) この5か月の経験を生かして行きたい」と、抱負を語った。

さらに同相は、エネルギー環境問題に言及。「CO2排出エネルギーを抑制することが世界のすう勢だ」と述べ、安全性の問題を担保するとの前提で、「21世紀のエネルギーは、原子力に依存しなければならない」と、来世紀も原子力をわが国の主力エネルギーとして位置づけて行く方針であることを強調した。加えて、「21世紀は、いかにして人類が環境問題を克服していくかが課題。エネ庁を持っている経産省は、各省庁と連携をとりながら、この問題に対する取組みを前進させなくてはならない」と、同省がエネルギー・環境問題に対する中心的役割を果たしていくとの認識を示した。


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