[原子力産業新聞] 2000年12月7日 第2066号 <面>

[原研/日立東北ソフト] 高度計算ソフト商品化−販売契約を締結

販売契約を締結

日本原子力研究所 (村上健一理事長) は、計算科学技術推進センターで開発を進めている高度科学技術計算支援環境を構成するシステムの一部を商品化するための使用許諾契約をこのほど、日立東北ソフトウェア (略称・日立東北ソフト、大多和英行社長) と締結した。

この契約に基づいて原研が有償で提供するソフトを、日立東北ソフトはパッケージ化し一般に販売する。

商品化の対象とされるシステムは、複数の並列計算機上に構築された各種ツール間、あるいは利用プログラム間の通信を支援する通信基盤ソフト (SCE) の一部と、プログラム開発環境ソフト (PPDE) の一部だ。この通信基盤ソフトを利用すると、さまざまな計算機上に置かれたプログラムあるいはデータを、計算機の機種や通信形態の違いを意識することなく、あたかも単一の計算機上にあるように利用することが可能になるという。

高度科学技術計算支援環境は、1999年には国内の科学技術の顕著な成果に与えられる石川賞を受賞した。また、科学技術庁が現在計画中の ITBL (IT-Based Laboratory) 用基盤ソフトウェアに拡張される予定だ。ITBL というのは、ネットワークでつながれた複数の研究機関等のスーパーコンピュータをあたかも1つの計算機として扱うような情報処理環境を構築するもので、高速で大量の情報処理を可能とする。材料設計等の広範な分野で、高精度のシミュレーションを案現し、研究開発の高度化にむけて新たな境地を切り拓くものと期待されているプロジェクト。


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