[原子力産業新聞] 2000年12月7日 第2066号 <3面>

[欧州委員会] 将来のエネ政策で原案採択−原子力オプション維持を明言

域内共同で包括的な検討へ

欧州委員会 (EC) は11月29日、欧州連合 (EU) 域内のエネルギー供給保障に関する政策原案となるグリーン・ペーパーを採択し、「急増するエネルギー消費には原子力オプションを維持しつつ思い切った対策を取る必要性がある」との認識を表明。欧州における将来のエネ戦略について、地域的、経済的、および環境的な利害関係も含めて包括的な検討に乗り出すことになった。

EC がエネルギー政策の見直しを行うのは90年代半ば以来、初めてのこと。10月にはグリーン・ペーパーの技術的な背景に関する報告書をまとめたばかりで、その中では将来のエネルギー供給を確保する三つの主要な政策の一つとして原子力の継続的な利用を提案していた。最終的な戦略決定のたたき台となるグリーン・ペーパーでは、EC は次の4点を勧告している。

(1) エネルギー部門の脆弱な構造= EU はすでに必要なエネルギーの50%を輸入に頼っている。輸送や電力などの分野で価格の不安定な化石燃料の輸入量が増加しているため、今確固たる政策を取らなければこの依存度は20〜30年以内に70%に到達すると予想される。EU の現加盟国では電力分野の需要は年率2%近く上昇しているほか、新たに加盟を希望している国々ではこの数字は3%近い。原子力は現在、EU の電力需要の35%を賄っているが、今後は下降していくだろう。その一方、ガス火力の割合は2030年までに50%近くまで上がる見通しだが、再生可能エネルギーの比率はごくわずかと考えられる。

(2) 共通の対策を取る必要性=加盟各国は共通の問題に対して独自の解決方法を模索しているが、域内エネルギー市場の統合は一国で取られた政策がほかの加盟国の市場動向に影響することを意味する。また、地球規模の温暖化という脅威は域内レベルで新たなエネルギー政策を取る必要があることを示している。

(3) エネ戦略の概略=エネルギーの依存から脱却するため、グリーン・ぺーパーではエネルギー供給政策のバランスを取る方法を5つの分野で提示しているが、その中には省エネとエネルギー税の導入、大規模な水力発電も含めて再生可能エネルギーの発電シェアを2010年までに12%まで倍増することのほか、原子力の利用を取り上げている。原子力発電の中期的な貢献に関してはすべての側面に関する議論を含めた新たな分析が必要で、放射性廃棄物の管理技術とそれを合理的な安全条件の下で実施する方法について活発な研究を継続していかねばならない。

(4) 議論の方向性= EC としてはグリーン・ぺーパーを、欧州における将来のエネ戦略に関する全般的な議論、特に供給保障という観点から始めるのに役立てたいとしており、これが既成の戦略の提案に留まらず、幅広い分野で革新的な議論が展開されるよう促したい。


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