[原子力産業新聞] 2000年12月7日 第2066号 <3面>

[フィンランド] 新規炉計画で国民投票の是非をめぐり議会が動揺

先月15日にフィンランドの大手電力会社である TVO が国内5基目となる原子炉の建設計画原則決定を政府に申請したのに伴い、同国議員の間では国民投票の実施をめぐって意見が交錯している。

TVO の申請後、真先にこの件を国民投票にかけるよう要請したのは緑の党の党首でもあるS.ハッシ環境相だが、P.リッポネン首相は「国内法により議会が決定する事項」との見解を表明して直ちにこれを退けた。しかし、その後も与党である社会民主党議員を交えた超党派の議員グループが投票の実施を求める動議を提出する一方、野党の中央党や左翼同盟はこれに反対する考えを明らかにするなど議会内部は揺れ動いている。また、「政府が同計画を原則決定すれば連立政権からの離脱を辞さない」と明言していた緑の党は、議会が政府の原則決定を承認した場合にのみ政権を離れるとの見解にトーンダウンした。

なお、中立系の大手日刊紙である「ヘルシンキ・サノマット」が最近実施した世論調査では、国民の70%がこの計画について国民投票の実施を希望しているとの結果がでている。


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