[原子力産業新聞] 2000年12月14日 第2067号 <1面>

[原産] 基盤強化委員会が初会合

喫緊の人材問題検討へ

日本原子力産業会議の基盤強化委員会 (委員長・荒木浩東京電力会長、副委員長・鷲見禎彦日本原電社長) は12日、東京都港区虎ノ門で第1回会合を開催した。

原産会議は今年、従来から諸問題の審議の場として活動してきた各種委員会を見直し、その一環として基盤強化委員会を新たに設置した。(1) 既存の原子カプラントの今後数十年にわたる安全・安定運転 (2) 来世紀に予測しうる原子力の再評価・再活性化に対応するための技術や技術者の維持・保存・発展(3) 原子力利用の基盤に関する新たな科学・技術的知見の的確な反映−など、原子力開発利用の基盤に関わり、早急な検討・取組みが必要とされる課題が生じてきているとの認識のもと、産業界・学界・研究機関がこうした課題に取り組む必要があると判断。基盤強化委員会で横断的な解決策の検討を行い、提言等をとりまとめ民間自らが実践するとともに、関係者に働きかけることとした。

会合では、荒木委員長が「原子力発電を来世紀にどのように発展させるべきかとの問題意識を持ち、最近の環境の変化を踏まえるとともに数十年先の変化を予測したうえで、民間が主導して方策を実行する必要がある」と委員会の役割を説明した後、意見交換を行った。

喫緊の課題とされる人材と技術力の確保を中心に意見が交わされ、「人材の確保を誘導するものとして原子力の位置付けが重要。かつてのように夢を与えられる技術でなければならない」「研究開発のゴールが明確となることで、人材と技術力の維持に必要な研究者等の自信や誇り、使命感か生まれる」「メーカーとしては事業がないと人材や技術の維持は困難」−といった意見が出された。

同委員会では、こうした意見を踏まえ、まず基盤強化委員会の下に「人材問題小委員会」 (委員長・鷲尾禎彦氏) を設置し、今後、人材の確保や育成、再教育のあり方、技術の継承等について、具体的に検討していくことを決めた。


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