[原子力産業新聞] 2000年12月14日 第2067号 <2面>

[自民党] エネ政策委が中間報告で、エネルギー基本法の制定を示す

各エネ源に明確な位置づけ

自民党エネルギー総合政策小委員会 (甘利明委員長) は、第3回中間報告をまとめ、エネルギー政策を包括的に扱う基本法の制定が必要だとする考えを示した。

自民党では、石油の安定確保、規制緩和、省エネルギー対策の推進、原子力安全規制・防災対策の進展などを背景に、最近の情勢の変化を踏まえ、党としてのエネルギーに関する中長期的な総合政策を検討することが必要との判断から、今年3月末に同委員会を設置。これまで、検討の結果を2度にわたり中間報告としてまとめてきた。今回の中間報告は、10月初めからの議論を集約したもので、(1) CO2 排出削減のための構造対策の必要性 (2) 石油の安定確保の重要性 (3) エネルギー総合政策に関する国会論議の充実化−の3点を取り上げており、先月29日の会合で報告された。

その中で、CO2 排出削減については、需要・供給両面にわたる構造的な対策を強力に講じることが不可欠であるとしている。需要面での取組みとしては、エネルギー機器効率向上のためのトップランナー方式の推進や住宅・ビルの省エネ推進、燃料電池利用の研究開発を進める一方、供給面では原子力の安全な利用拡大、燃料サイクルの着実な推進、化石燃料の効率的利用などを挙げている。

また、報告書はエネルギー総合政策の論議を充実させる必要性について、所属議員に対するアンケート結果に基づき、提案を行っている。複数のエネルギー政策間の調整はエネルギー基本法に類する法律を制定するとともに、特別委員会を設置して国会の場を軸として行うことを検討すべきとし、具体的な基本法の骨子を明らかにした。

それによると、規制緩和や自由化が進む中、いかに長期的経済性・安定性を確保するかを示したうえで、エネルギーの安定的供給、環境問題、長期的経済性の達成のため、エネルギー政策全体を視野に入れた、化石エネルギー・原子力・新エネルギー等の多様なエネルギー源を位置づける包括的な法令が必要だとの認識にたち、国会でエネルギー政策について開かれた議論を行う必要があると指摘。

法律に盛り込むポイントとして、(1) 持続可能な経済成長、エネルギー安全保障、環境保全を達成するためのエネルギー政策の基本理念の明示 (2) 持続可能なエネルギーミックスの追求や効率的なエネルギーシステム、将来のエネルギー選択肢の拡大等の確保 (3) 10か年程度の長期計画の策定と適宜の見直し (4) 国・地方公共団体・事業者・国民の責務の明確化 (5) 政府によるエネルギー施策の国会への報告−などを挙げている。


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