[原子力産業新聞] 2000年12月14日 第2067号 <6面>

[科技庁政策研] 21世紀の科学技術を展望

原子炉は小型化へ

「原子力の未来−小型でかつ安全な原子力発電の方式が開発され、原子力が基幹エネルギー源として見直される。さらに核融合発電技術が確立し、火力発電および核分裂式発電は全廃される」

科学技術政策研究所は7日、「21世紀の科学技術の展望とそのあり方」と題する報告書をとりまとめ、このような原子力利用の未来についての展望を含め、アンケート調査など実施して科学技術全般にわたる展望を描いた。

報告書は21世紀に科学技術がどのような進展を見せるかを展望するもので、エネルギー供給に関しては、宇宙太陽光発電について、「宇宙での大規模かつ安価な太陽光発電技術と安全な送電技術が確立し、宇宙太陽光発電所が実現する」。また「ビルや家屋の外壁、窓ガラス、瓦などが、すべて太陽電池の機能を持った素材で作られるようになるとともに高効率の蓄電技術が開発され、太陽光発電が全エネルギー供給の大半を占めるようになる」などの進展を描いている。また全世界電力ネットワークの形成を展望し、「世界規模で常温超電導ケーブルを使用した電力ネットワークが発達し、各国間の時差を利用したピーク電力の融通など最適なエネルギー供給が行われる」としている。一方、科学技術の倫理的な側面については、「20世紀の科学技術は強者・多数のためのものという色彩が強かった。南北格差、環境破壊、生命倫理に関わる問題などは、20世紀の負の遺産」として「21世紀の科学技術は、弱者や少数の立場の人々もその成果を享受できるものでなくてはならず、技術が一人歩きしてしまわないように、倫理面から一定の規制を設ける必要がある」などとしている。


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