[原子力産業新聞] 2000年12月21日 第2068号 <1面>

原子力界にひろう今年の主な動き

▽原子力長期計画が策定され、21世紀初頭の原子力開発ビジョン固まる。高レベル廃棄物処分は2030〜40年代に開始へ。FBR 開発は将来の重要なエネルギー選択肢に位置づけ、年末には「もんじゅ」運転再開へ事前審査願いを福井県など地元が受け入れ。

▽高レベル廃棄物処分の法的枠組み定まり、事業実施、資金管理主体が相次ぎ設立、北海道幌延町への深地層研究所 (仮称) 建設も地元合意で、技術面でも地歩固め進む。

▽使用済み燃料の本格搬入で、日本原燃と地元自治体との安全協定が締結に至り、再処理などサイクル事業が新局面。MOX 燃料の国内加工事業も日本原燃が主体として事業化へ。

▽プル・サーマル計画は、関西電・高浜に導入する輸入 MOX 燃料体のデータ改ざん問題受け、通産省が電気事業法を一部改正して品質保証面の規制強化、計画進める東電も品質面を再確認、地元説明に注力。

▽中国電・上関地点で第一次公開ヒア開催。北海道電・泊3、中国電・島根3の増設も地元合意を経て具体化へと前進、立地努力が着実に成果。議員立法で原子力発電立地の特別措置法も成立し、立地対策の抜本的な強化に期待。

▽JCO 東海事業所での臨界事故踏まえ、原子力防災関連2法が成立、福井県、島根県などで国主催の原子力防災訓練相次ぎ実施。

▽フランス原子力産業界が大幅再編へ。ドイツでは、政府と同国電力と既設原発の運転期間などで基本合意、平均32年間。スイスは、原子力法改正で原子力発電の運転年数の上限設けない条項盛り込む。チェルノブイリ原子力発電所は年末までに完全閉鎖。

▽ITER (国際熱核融合実験炉) 工学設計の終了にらんで、建設サイトの国内誘致問題を原子力委員会が再び検討スタート、北海道、青森、茨城の3地点が名乗り、国内誘致の議論大詰め。

▽地球温暖化問題で COP6 会議がオランダ・ハーグで開催、京都議定書の実行にむけ議論も、合意に至らず。

▽省庁再編迫る。科学技術庁は文部省と文部科学省に、引き続き核融合炉など研究開発を所管。通産省は経済産業省に、廃棄物処分事業はじめサイクル政策や原子力保安など安全規制を所管、原子力安全・保安院の設置も決まる。


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