[原子力産業新聞] 2000年12月21日 第2068号 <7面>

[原産] 99年度原子力実態調査を発表

研究開発支出、10年間で最低

日本原子力産業会議は20日、1999年度の原子力産業実態調査結果をまとめ、発表した。それによると、民間企業の研究開発支出が過去10年間で最低を記録したことが明らかになるとともに、研究者数も10年間で約41%の減少を見せ、民間での研究開発意欲が大きく低下している現状が浮き彫りとなった。

一方、電気事業の支出や鉱工業の支出・売上の方は、数年ぶりに増加を示す調査結果があらわれた。

調査は99年度原子力関係の売上、支出、従事者の実績を持つ電気事業11社、鉱工業350社、商社24社へのアンケート調査に基づいてまとめられた。

今回の調査の特徴として、研究開発支出に焦点をあてて分析を試みている。

鉱工業部門の原子力関係総研究支出高は395億円で、502億円だった前年度に比べ21%の減少を示した。電気事業の試験研究開発費は359億円となり、前年度より微減だったが、95年からの減少傾向には歯止めがかからなかった。また、民間企業の研究者数も前年度比7%減の1,830名で、3,100名を数えた90年度以降10年間で約41%減少したことが明らかになった。

鉱工業の部門別原子力関係研究支出は、原子炉機材が前年度比4%減の122億円、燃料サイクルが29%減の71億円などとなっている。業種別に見ると、電機・重電製造業が179億円で、10年前に比べ半減した。研究開発の活動状況を示す研究投資率も2.54%となり、99年度の産業全体の研究投資率3.06%を下回り、初めて産業全体より低い数値を示すこととなった。一方、99年度支出・売上のうち、電気事業の原子力関係総支出高は前年度比11%増の1兆8,858億円で、2年ぶりの増加。鉱工業の原子力関係売上高は3年ぶりに増加に転じ、12%増の1兆6,792億円となった。近年、低調が続いていた新規発電所の建設がようやく軌道に乗ってきたことを反映しているが、調査では「大量の発注が見込めないため、鉱工業の売上が今後増加基調に転じるかは不透明だ」と分析を加えている。

鉱工業の受注残高については、99年度は2兆3,599億円となり、前年度より2%の減少で、依然厳しい水準にあることを示している。

また、今回は電力自由化か原子力産業に及ぼす影響についてのアンケート調査も併せて実施。自由化による各社の原子力関係売上に影響について聞いたところ、売上減少に結びつく可能性を指摘した回答が全体の50%あり、業績に厳しい影響を及ぼすと予想していることが明らかになった。原子力産業の市場規模も縮小すると回答した企業も40%に達した。


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