[原子力産業新聞] 2001年1月11日 第2070号 <3面>

[フィンランド] 最終処分場建設を原則決定

来月、議会で審議へ

フィンランド政府は12月21日、使用済み燃料の最終処分場を建設する計画を「原則決定」したことを発表した。

この計画は放射性廃棄物管理機関である POSIVA が99年5月に申請していたもので、国内で稼働する2つの原子力発電所の1つであるオルキルオト原子力発電所近郊のユーラヨキで地下500mの花崗岩盤に4,000トンの使用済み燃料を処分しようというもの。安全上問題なしとの評価結果が出ていた4か所の候補地の中からユーラヨキを選択した理由として POSIVAは、 (1) オルキルオト発電所からの輸送距離が最短になる (2) 海岸に立地する同発電所からは海上輸送も可能 (3) すでに必要なインフラが完備している (4) 住民の約6割が同計画に賛成 ---- などを挙げていた。フィンランド政府も原則決定を下した根拠として、地元自治体の支持のほかに社会保健省の放射線・原子力安全センター (STUK) による同意があったことを明らかにしている。

今回の決定によって、POSIVA はサイトの地下に研究施設を建設することが可能になり、数年以内にもそのための岩盤掘削が始められる模様だ。

ただし、同計画は今後、議会の承認を得る必要があり、2月にも審議にかけられる見通しだ。また、施設の建設に必要な許認可は議会の承認後、別途発給される必要があるため、実際の建設作業は早くても2010年、操業開始にこぎ着けるのは、さらにその10年後になると予想されている。

フィンランド政府の決定について欧州原子力産業会議連合 (フォーラトム) のW.シュミットキュスター事務局長は、「高く評価されるべきだ」との声明を発表した。同事務局長はまず、元々原子力産業の黎明期から放射性廃棄物は安全に管理されてきたという歴史的事実に言及しつつ、低・中レベル廃棄物が大衆の健康や環境に何の脅威も与えていないのに比べ、使用済み燃料やその再処理によって出てくる少量の高レベル放射性廃棄物 (HLW) については最終処分が懸案となっていたことを認めた。

適当な中間貯蔵施設が存在することから差し当たって急を要する案件ではないとしながらも、天然や人工の多重バリアなど深地層処分のための技術が開発されつつあり、処分場建設のための基金も原子力による電力販売で積み立てられていると指摘。これ以外で最終処分計画を押し進めるのに欠けているのは政治的な意思だけだと訴えた。

同事務局長はまた、豊かな電力や医療品など原子力技術による膨大な恩恵を現世代が過去40年にわたって享受してきたのに対し、廃棄物の始末を次の世代に押しつけるのは容認し難いことだと強調するとともに、「フィンランド政府はこの倫理的な責任に真っ向から向き合っている。ほかの国々も今こそこれに続いて具体的な行動を起こすべきだ」と呼びかけた。


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