[原子力産業新聞] 2001年1月18日 第2071号 <3面>

[米国] 商務省など濃縮市場でダンピング調査

欧州企業2社が対象

米ウラン濃縮会社 (USEC) の請願を受け、米国商務省 (DOC) と国際貿易委員会 (ITC) は先月27日、欧州のウラン濃縮企業であるユーロディフ社とウレンコ社による米濃縮ウラン市場でのダンピング疑惑について調査を開始すると発表した。

USEC が請願書を提出したのは12月7日のこと。内容はこれら2社が (ユーロディフは米国における販売代理業者である仏核燃料公社を通じて) 生産コストより低価格で濃縮ウランを米国市場で販売したほか、欧州市場においても政府からの助成を得るなど不当に利益をあげているというもので、「このような商業活動が米国内の濃縮産業を実質的に損なう結果になっている」と訴えている。USEC はまた、米国のウラン濃縮能力を長期的に維持し、健全な市場競争と堅実な燃料サイクルを推進していくためには、公正な価格による販売を定めた商法の遵守が重要だと強調。濃縮能力の維持は米国の国家保障とエネルギー保障の双方を保証することに繋がり、議会やこれまでの政権による政策を反映することにもなると指摘した。

今後は DOC が2社によるダンピングと不公正な政府助成の実際の有無について審査するのと並行して、濃縮ウランの不公平な輸入取り引きによる実害について ITC が調査することになる。ITC の暫定的な判断は今月22日までに示されるが、ITC と DOC による最終的な判定は年末までを目処に下される予定だ。


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