[原子力産業新聞] 2001年1月25日 第2072号 <2面>

[原子力安全委員会] 検討分科会が初会合、MOX加工施設の指針策定へ

日本原燃の事業施設建設を念頭に

原子力安全委員会の原子力安全基準専門部会の下に設けられた MOX 加工施設指針検討分科会が23日、初会合を開いて、国内での MOX (混合酸化物) 加工施設建設の指針作りに着手した。

初会合では、鈴木篤之東京大学大学院教授を主査に選出し、指針策定の基本方針などが審議された。日本原燃が計画する商業用の MOX 燃料加工施設を想定することとなり、プルトニウムを扱う MOX 燃料加工の特性を考慮して、閉じ込め性能や臨界安全性、耐震性などの面から技術的な検討を進める。

主査に選出された鈴木東大大学院教授は「非常に難しいと同時に非常に重要な検討であり、円滑な審議をお願いしたい」と今後の検討への期待感を示した。続いて MOX 加工事業の主体となる日本原燃が加工施設の基本設計の考え方を、また核燃料サイクル開発機構がこれまでの MOX 加工の経験や関連の設備などについての報告を行った。説明にあたった日本原燃は、「春ごろまでには基本設計を終えて、事業許可申請書の作成に入り、できるだけ早く事業許可の申請を行いたい」との意向を明らかにした。また、「極めて厳格な安全管理のもとに行うことが重要と考えている」とした。同社の説明によると、MOX 加工施設は年間の最大処理能力130トン-HMを考えており、青森県六ヶ所村に建設中の再処理施設の処理能力を勘案しながら、同施設から製品化されて出てくる混合酸化物の粉末 (ウランとプルトニウムを50%ずつの割合で混合したもの) を処理できる能力を想定している。

そのため加工施設は、再処理施設に隣接して建設される予定で、地下で再処理施設と接続した形で原料の MOX 粉末を搬送できる設備を設けることになる。建物は主建屋が地下3階、地上1階 (一部2階) の鉄筋コンクリート造り。延床面積は約2万平方メートル。工程は原料の MOX 粉末を調整し、ペレットの形に成型したものを燃料棒にし、集合体に組み立てて梱包・出荷する一連のプロセス。加工の工程は乾式で自動・遠隔操作を基本とし、必要なプロセスにグローブボックスと呼ばれる作業用の遮へい設備を導入するなどして、作業中の被ばくを防ぐなどの安全設計を施す考えだ。臨界安全性や耐震面でも十分な安全設計が検討されている。

説明を聞いた後、耐震性や安全設計といった指針策定にあたっての検討の進め方について各委員が意見交換を行った。対象施設をどこまで具体的に絞り込むべきかなどの基本方向をめぐって話し合いが行なわれ、核燃料施設安全審査指針に基づいて内外の指針類も参考にしながら検討を進めていくことになった。

具体的には、安全評価として設計基準事象の選定などを検討するほか、閉じ込め機能や放射線遮へい、臨界安全、耐震、また MOX の特徴である崩壊熱への対応といった点を踏まえて指針づくりを進める。必要に応じて部外協力者の参加を求めるとともに、現地調査も行う。


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