[原子力産業新聞] 2001年1月25日 第2072号 <3面>

[劣化ウラン弾] 米国防省、白血病等バルカン症候群とウラン弾との関連否定

米国防省 (DOD) のK.べーコン公共問題担当次官は4日、「最新の研究結果はバルカン紛争時の劣化ウラン (DU) 弾使用による被曝と駐留兵士の白血病が関連する可能性を除外した」と発表した。

NATO 軍がユーゴスラビア連邦空爆の際に使用した劣化ウラン弾の人体への影響を懸念し、スイスやポルトガルでは帰還兵の精密検査実施の動きをみせている。しかし同次官は、「湾岸戦争症候群との関連を解明するという目的もあって米国はかなり長期間、DU の影響について研究してきたが、DU による被曝と一部の兵士に見られた健康被害および湾岸戦争症候群の症状とを結び付ける根拠を見いだすことは出来なかった」と明言。昨年来に DOD が審査した医学研究報告書がこの結論に達していたこと、98年にすでに DOD が同様の結論を出していた点に言及した。

ベーコン次官はまた、DU は重金属であるものの放射性は天然ウランの40%程度と低く、米国としては DU が人体に悪影響を及ぼすと考えていないことを強調。その理由を具体的に次のように説明している。すなわち、(1) DU を含有する弾丸は直接的な被曝を防止するため薄いスチールの層で覆われている (2) 一般的に低線量の放射線が白血病の原因となることは少なく、DU の切片を250時間連続で握ってようやく許容線量を超える程度 (3) DU と白血病の間に何らかの関連性があると主張するためには、バルカン紛争に従軍した兵士達の白血病発病率が案際に通常より高いかどうかを疫学調査で確認することが先決 --- など。


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