[原子力産業新聞] 2001年2月15日 第2075号 <3面>

[台湾] 第四原発の建設工事再開へ

行政院、立法院と合意

台湾の張俊雄・行政院長 (首相) と王金平・立法院長 (国会議長) は13日、第四 (龍門) 原子力発電所の建設再開を決めた最終合意文書に署名した。昨年10月27日に民進党を率いる陳水扁総統が同発電所の建設中止を発表して以来、前政権で同プロジェクトヘの予算執行を決定した立法院の国民党議員との対立が深まるなど政治的な混迷が続いていたが、早期の紛争決着を望む行政院側が5日に妥協案を提示してから両者は建設工事の再開で基本的に合意。その後の協議でさらにいくつかの修正を加えて最終的な合意に至ったもので、14日に行政院長が合意内容を正式に宣言したのを受けて第四原子力発電所は約3か月半ぶりに建設が再開されることになった。


両者の協議では、台湾政局の安定、経済の発展、人民の福祉、ならびに国家体制と憲法政治の精神を尊重の上、次のような結論に達した。すなわち、(1) 行政院は近日中に第四原子力発電所建設予算の執行復活を発表し、同発電所の建設を再開させる。その後の予算に関しては関連法令に基づき処理する (2) 将来的にエネルギー開発を進めるにあたり、国家経済、社会の発展、世界的な潮流、国際公約の精神に適合しつつ、将来的にエネルギーが不足しないことを前提とした上で最終的には「非核国家」を目指す (3) 行政院が提出したエネルギー関連法草案を立法院で審議し、与野党間の同意を得た後、正式な法案とする (4) 立法院野党連盟は行政院が第四原子力発電所の建設再開を発表した後、両者間の協議を行うことに同意する−など。

協議文書に調印後、王立法院長は、建設中止決定は憲法論争に発展するなど政局の混乱と経済の停滞および社会の不安を招いたとして非難したものの、行政院による最終的な判断に関しては「イデオロギーを捨てて憲法精神に殉じた」として一定の評価を示した。一方、張行政院長は、「政治の安定と経済的な発展を優先して譲歩もしたが、いくつかの点では行政院の立場を固守した」と強調している。


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