[原子力産業新聞] 2001年2月15日 第2075号 <4面>

[原子力平和利用・核不拡散政策研究会] 国際シンポジウム開催へ

「アジア核不拡散センター」でも議論

原子力平和利用・核不拡散政策研究会 (座長・黒澤満大阪大学教授) は、来月7日と8日の両日、東京都千代田区平河町の麹町会館で国際シンポジウム「原子力平和利用と核不拡散との調和をどう図るか−アジアから原子力開発の将来を考える−」を開催する。同研究会は昨年3月、5月の核不拡散条約 (NPT) 運用検討会議を前に第1回の国際シンポジウムを主催。21世紀の原子力平和利用と核問題をテーマに意見交換をはかった。今回は、昨年のシンポジウムでの議論をさらに深めることをねらいとして、国外参加者と研究会委員らによる講演と討論が予定されている。研究会が昨年とりまとめた国際的提言「原子力平和利用と核不拡散−21世紀に向けた行動計画の提言」についても掘り下げていく。

3月7日の開会セッションの特別講演では、P.ティボー IAEA 理事会フランス代表がシンポジウムの基調となる「核不拡散体制の強化−原子力平和利用へのインセンティブ」を話す。続く第1から第5の各パネルではキーノートスピーチと参加者間での討論が予定されている。

第1パネル「核不拡散レジームと今後の課題」では、米カーネギー財団のR.ゴットメラー氏がブッシュ新政権誕生を踏まえ米国の核不拡散政策を講演するほか、R.チダンバラン前インド原子力委員長が「原子力の必要性と拡散についての誤解」と題して発表する。

第2パネルは保障措置の将来展望を取り上げ、IAEA のデクラーク氏が IAEA 保障措置の発展について、またドイツユーリッヒ研究所のG.シュタイン氏が国際保障措置の課題について講演する。

8日の第3パネルは、核物質の盗難や密輸防止をめぐって行われるセッション。ロシア PIR センターのV.オルロフ所長らが核物質密輸の今後の予測を交え解決に向けた課題をさぐる。

「輸出規制と原子力平和利用の推進−技術移転と国際規制のあり方を考える」と題する第4パネルは、米国務省のR.ストラットフォード氏や中国核工業集団公司の陳百松氏らのスピーチを受けて意見交換をはかる。最後の第5パネルは総括セッションとして、アジアの原子力平和利用の推進と国際協力を核不拡散の制約と調和の観点から考えていく。なかでも、昨年の研究会提言に示された「アジア核不拡散研究センター構想」について踏み込んだ議論が行われる予定だ。

主催者では、シンポジウムヘの参加を広く呼びかけている。参加費無料。締切りは今月23日。問合わせは日本原子力産業会議・政策企画本部 (電話 03-3508-7927 または Eメール npsympo@jaif.or.jp) まで。


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