[原子力産業新聞] 2001年2月22日 第2076号 <1面>

[プルサーマル] 平沼経済相、福島第一での実施で国として支援を表明

事務レベルで連絡も

福島県の佐藤栄佐久知事が、東京電力・福島第一原子力発電所でのプルサーマル実施に対していろいろな問題提起をしていることに関連して、平沼越夫経済大臣は16日の閣議後の会見で、佐藤知事はプルサーマル実施の可能性について「必ずしもゼロとはという事は言っておられない」との認識を示すとともに、東電の対応を見守りながら、状況を見て福島県と事務レベルで連絡を取っていく方針であることを明らかにした。

同相は、佐藤知事からプルサーマルについて、県民の理解が必要と指摘されたことに対し、「MOX 燃料の信頼性などについて説明会の開催、県民からの質間の受付とその公開などに努力を続けてきた」と強調。「今回の (知事の) ご発言にも問題提起があったので、我々としては努力を引き続き続けて行きたい」と述べ、プルサーマル実施に対して、今後も国としてバックアップしていく方針を表明した。

今月8日、東電は「最近の電力需要と新規電源開発の凍結について」として、最大電力が1996年7月以降更新をせず、かつ同社の供給力は96年からの4年間で500万kW 程度着実に増加している現状や、(1) 経済成長率低下にともない、電力需要の年平均増加率は1%台になった (2) 96年度以降の自家発電設備容量が、3年間で135万kW 増加した (3) 負荷平準化努力により、この4年間でピークシフト量が114万kW 増加した --- などの需要構造の変化などを理由に、原子力を除いた現在の新規電源の開発計画を抜本的に見直し、原則3〜5年、地点によってはそれ以上の期間、凍結するとの発表を行っている。一部で、佐藤知事はこれに反発したためにプルサーマルに対して慎重な姿勢を示しているとされているが、これについて平沼経済相は、「知事は批判をするというお立場をとっておられるとは思っていない。福島県サイドで色々ご計画をお持ちだった中で (発電所建設凍結計画が) 唐突に事前連絡がないような形で発表されたから、『ちょっとおかしいのではないか』というご発言があったと思う」「知事のご発言では、(プルサーマル実施の可能性が) 必ずしもゼロと言うことは言っておられない。東京電力側は原子力発電に関しては、計画通りちゃんとやるという発表を社長がなさったわけだから、我々としては総合的に判断していかなければならない」との認識を示した。

加えて同相は、知事のプルサーマルヘの問題提起が「国に対する不信感という形とは受け取っていない。国としては事務サイドで福島県とよく意志の疎通をさせていただき、また佐藤知事がご提言してくださった住民の納得が必要なのだから、説明会を開催するとかいろいろな形で努力をさせていただきたいと考えている」と述べ、プルサーマルの理解促進活動について、今後も国として更なる協力を行っていく用意があることを明らかにした。


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