[原子力産業新聞] 2001年2月22日 第2076号 <2面>

[サイクル機構] 核不拡散で国際フォーラム

内外の理解求めて

核燃料サイクル開発機構が主催する第3回 JNC 原子力平和利用国際フォーラムが21日、東京千代田区の全社協・灘尾ホールで開幕した。

初日、冒頭にあいさつした都甲泰正同機構理事長は、「わが国の原子力平和利用や核不拡散についての努力について内外に積極的に発信していく必要がある」との認識を示し、フォーラムの議論に期待を表明した。

続いて「新しい世紀における原子力平和利用の国際的取組みについて」をテーマに、日本原子力発電の下山俊次最高顧問が特別講演を行った。

講演のなかで同氏は昨年末にまとまった原子力利用長期計画にふれ、「今回の長期計画では原子力が地球環境問題に対応する重要な選択肢であり、そのために再処理を行ない、燃料をリサイクルする方針を示している。ならばその意義と安全性を国際的に十分に説明できなければならない」と強調。余剰プルの議論を例に「従来の需給バランス論では不確定要素があり、バランス論の中核となるタイムスケールが示せない問題がある。バランスをとる努力は続けるにしても、透明性をどう向上させるか、国際的にも説得力のある形でそれをどう示せるかが重要な問題となる」と述べた。そのうえで同氏は、「原子力を進める上では、国益と国際的な公益の調和をいかにはかるかが国外ばかりでなく国内の理解を得るためにも重要」との考えを示し、核解体問題などにも積極的に日本が役割を果たすことが求められるとした。加えてアジア地域との協力関係などを含め、経済のみならず外交、政治等、幅広い視点から正しい情勢認識もたなければならないと指摘、核不拡散問題について「わが国の総合的な安全保障との関わりのなかで広く議論されるべきだ」との認識を示した。

この後、フォーラムは21、22日の2日間、核拡散抵抗性に関わる技術や日本の原子力平和利用を内外にどう情報発信していくかなどのテーマで技術報告、パネル討論が行われる。


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