[原子力産業新聞] 2001年2月22日 第2076号 <3面>

[米国] ドメニチ上院議員、新規原発建設促進法案提出へ

「近年中の着工に楽観的」

米議会上院・エネルギー・天然資源委員会の古参メンバーであるP.ドメニチ議員 (共和党、ニューメキシコ州選出) が新規原子力発電所の建設促進を目的とした法案の提出を検討していることが、このほど明らかになった。

このことは今月9日、カリフォルニア州で開かれた米国立工学アカデミー年次大会の「21世紀のオプション−原子力発電」と題されたシンポジウムでドメニチ議員の科学顧問が同議員に代わって発表した。それによると、同氏が考案中の法案はF.マコウスキー上院議員が昨年提出した国家エネルギー保障法案を補完する位置づけとなる一方、使用済み燃料の取扱い戦略を策定するようエネルギー省 (DOE) に求めている点では同じだという。具体的には (1) 原子力発電の利用継続を保障する (2) 新規原子力発電所の建設を促進する (3) 原子力をその他の電源と対等に扱う(4) 使用済み燃料の扱い方法を特定する (5) 米国原子力規制委員会の合理化をさらに進める−など、となっている。

新規原子炉の建設についてドメニチ議員は、「非常に楽観的に考えている」と強調。「建設作業は今後数年以内に、おそらくは南アで開発中のペブルベッド型モジュラー式ガス炉のように米英の投資家達から関心の高い新技術を実証に移すような形で始められるだろう」との予測を明らかにした。同議員はまた、「今年は原子力技術プログラムがスタートし、新たな原子炉などの市場にインパクトを与えるような特別な分野の技術に750万ドルが投入されることになる」と指摘。このような資金の大部分は、他の電源に比べてコスト安で炉心溶融の心配がなく、拡散性も最小限、高レベル廃物の排出量も少ないという特長を持った「第4世代の原子炉」の研究開発に費やされるとの予想を披露した。

ただしドメニチ議員は、核技術の軍事転用に対する大衆の不安に取り組むこともまた重要な点だと指摘しており、注意深い管理を怠れば大衆が原子力から得られるはずの恩恵に気づく機会は完全に損なわれるとの見方を示した。

同議員はさらに、放射線の安全基準と使用済み燃料の扱いは原子力の平和利用におけるキーポイントだとの認識から、「現在エネルギー省が実施している放射線影響に関するプログラムは、より良い基準作りの基礎となる科学的な理解増進のために最も期待されるもの」との認識を表明。同様の大がかりなプログラムがフランスでも進められている点に言及した。

ドメニチ議員はこのほか、現在全米70か所以上のサイトに散在する使用済み燃料は1か所か数か所の施設に、注意深く厳しい管理体制の下で、完全に回収可能な形態で集中貯蔵する案が好ましいとの見解を改めて提示。「実際問題、このような方式で貯蔵された使用済み燃料は将来の世代に米国の原子燃料備蓄となるはずだ」と付け加えた。


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