[原子力産業新聞] 2001年2月22日 第2076号 <5面>

[書評] 「日本発トップを切る科学者たち」−水木楊著

情報技術 (IT) 分野を中心に、新たな経済発展を支える技術革新の波が到来した20世紀末−明らかに一時代を画する経済発展の起爆剤が、革新的な先端科学技術によって生みだされ、産業革命以来とも評される新たな潮流が世界を席捲している。その一方で、日本は失われた10年を低迷する経済からの脱却ができずにいる。

しかしそのようななかで、日本から発信される新たな革新技術がある。それを創り出し、また創り出そうと情熱を傾ける研究者、技術者たちがいる。21世紀の幕開けを迎えて、時代を画す経済・社会の発展を促す技術革新を生み出そうと第一線で活躍する日本の科学者、技術者にインタビューし、その取組みと情熱、さらに将来への展望を浮き彫りにしようというのが本書のねらいだ。

画期的な手法で青色レーザーを開発し、情報分野に革命的な要素技術を開発した中村修二氏をはじめ、夢の金属と呼ばれる不純物ゼロの「純鉄」開発に取り組む安彦兼次氏、塩水でも育つ稲を研究している高倍鉄子氏、固有の安全性をもつ超小型の高速炉を開発する服部禎男氏ら9人の取組みから、日本発ニューテクノロジーの未来を解き明かそうとする。

ビジネスマンが、今後の経済発展に重要なカギとなる科学・技術を読み解こうとする際の入門書として、また今の時代を動かす根底を知るための手引きとして、幅広い層が関心をもって読める好著。

46判上製、240頁、定価本体1,600円 (税別)、発行所 チクマ秀版社 (電話 03-3965-1411)。


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