[原子力産業新聞] 2001年3月15日 第2079号 <2面>

[資源エネ庁] 神戸で一日資源エネ庁開く

エネ需給両面で議論

経済産業省資源エネルギー庁は12日、神戸市の神戸国際会館こくさいホールで1日資源エネルギー庁 in 兵庫を開いた。エネルギー政策全般について、情報の提供とともに、エネルギー消費地域と供給地域の交流の場を設け、国民と共にエネルギー問題を考えて、今後のエネルギー政策の展開に向けた国民理解をはかるねらいで開催しているもの。今回で10回目の開催。この日は1,900人を超える参加者が会場に詰めかけ、福井県大飯町の大飯発電所などとも中継をつないで、省エネルギーなどエネルギーの需給両面に関わる議論が行われた。

冒頭あいさつした河野博文資源エネルギー庁長官は「持続的経済発展と豊かな国民生活を実現するためにエネルギーの安定供給が重要な課題」と述べるとともに、現在進めている長期エネルギー需給見通しの検討について「今夏を目処にとりまとめられる予定」などと説明した。開催地元からあいさつした藤本和弘兵庫県副知事は「阪神大震災ではエネルギーや水といったライフラインの大切さを痛感した」などとしたうえで「環境問題などへの対応を抜本的に見直す時期にきている」と強調。兵庫県でも太陽光発電設備の普及などに積極的な取り組みを進めていくとした。

続いて科学ジャーナリストの中村浩美氏と河野長官が対談する形で「今後の我が国のエネルギー政策について」をテーマに世界のエネルギー事情と総合資源エネルギー調査会の検討状況を紹介した。対談のなかで河野長官は、環境問題への対応を進める上で「原子力などの非化石エネルギーの開発を進めねばならない」とし、さらにセキュリティ、供給の安定性など面からも「原子力開発の意味は大きい」と述べた。一方で安全確保の面からは防災関連法の制定や安全規制の一元化にむけた原子力安全・保安院の設立など取り組みを急ピッチに進めている状況を述べた。

また「新世紀−日本のエネルギー選択」をテーマに行われたパネルディスカッションでは、会場参加者から即時にアンケートをとりながら省エネルギーなどの需要面、新エネルギーなどの供給面についてそれぞれ議論が行われた。冒頭、会場から今後重要なエネルギー政策に関してアンケートが行われ、結果、新エネルギーへの期待が32%、原子力への期待が23%、省エネヘの期待が20%などとなった。この結果について、パネリストとして参加した内山洋司筑波大教授は「エネルギー政策はバランスが重要」などとして、幅広い選択肢でエネルギー問題の対応にあたる必要性を示した。一方で省エネルギーなど需要面ではパネリストの井上チイ子女性職能集団 WARP 理事長が「省エネの効果が見えれば、やりやすい」などとし、国民が身近に感じられるエネルギー対策を工夫することの重要性を強調するなど、活発に議論が進められた。


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