[原子力産業新聞] 2001年3月15日 第2079号 <2面>

[NSネット] 女川発電所を対象にピアレビュー

環境保全活動など評価

ニュークリアセイフティーネットワーク (NSネット) はこのほど、東北電力・女川原子力発電所を対象とした相互評価 (ピアレビュー) の結果を公表した。

ピアレビューは、原子力安全に関する会員間の共通課題について相互評価を実施して課題の摘出や良好事例の水平展開などなどを行い、お互いに持っている知見を共有して原子力産業界全体の安全文化の向上をはかる、NSネットの中心的制度。これまで燃料加工施設や原子力発電所を対象に行われており、第8回目までの結果が発表されている。

今回9番目のレビュー結果が発表されたのは、東北電力の女川原子力発電所。1月22〜26日の日程で石川島播磨重工業、電源開発、関西電力、三菱重工業、ニュークリア・デベロップメントおよびNSネット事務局からなるレビューチームが、「安全確保の基盤」、「地域社会との関係 (防災対策の充実)」、「運転経験の安全性向上への反映」、「JCO 事故教訓の反映・取り組み」、「軽水炉における最近の課題」に基本的な視点を置き、それぞれについて (1) 組織・運営 (2) 緊急時対策(3) 教育・訓練 (4) 運転・保守 (5) 放射線防護 (6) 重要課題対応−の分野に展開した上でレビュー項目を決定し、実施した。

調査の結果、レビューチームは「直ちに改善措置を施さなければ重大事故に繋がるような項目は見いだせず」「発電所長をはじめ全従業員が一体となり、原子力安全確保を継続・強化していくために真剣に取り組んでいる実態が確認された」と結論付けるとともに、「ISO 144001」の認証を取得するなど、東北電力の環境保全活動への関心の高さを窺い知ることができたとしている。

また、女川発電所の良好事例として (1) 協力企業との良好なコミュニケーション熟成に向けた細やかな活動 (2) 速報作成支援システムの開発 (3) 原子力補修作業支援システムの活用 (4) 計画から評価まで、一環した管理に基づく被曝低減対策の実施−を挙げ、一方、操業の安全性をさらに向上させるために「大地震対策」と「安全確保策をまとめた『手引き』等の作成」を提案している。


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