[原子力産業新聞] 2001年3月15日 第2079号 <3面>

[英国] Sテレグラフ紙、原子力支持の論評掲載

「唯一、現実的な選択肢」

英国の主要な新聞の1つであるサンデー・テレグラフ紙は4日、「現実問題として化石燃料を代替できる電源は原子力だけ」とする論評を掲載した。

これは同じ日に、英国の原子力発電所の持ち株会社であるブリティッシュ・エナジー (BE) 社が複数の新規原子力発電所建設を検討しているとのニュースを掲載したのに合わせて同紙としての見解を示したもの。同紙はまず、「老朽化したガス炉を新たな原子炉で更新したいという BE 社の提案は環境ロビーイスト達の怒りを買うとともに、誰もが驚きを持って受けとめるだろう」と指摘し、その理由を「15年以上も前に旧ソ連邦の古いチェルノブイリ発電所が爆発事故を起こし、それ以後原子力発電は破壊的な愚策として普遍的に考慮の対象外に扱われてきたからにほかならない」と分析している。

しかし現在、原子力発電所の安全性は飛躍的に向上したほか、ガス価格が石油に習って上昇傾向をたどるなど、経済的な利用価値が高まっているとし、同紙としては「原子力は不当に悪者扱いされている」と認識していることを明示。毎年数百万トンもの温室効果ガスを大気中に送りだしているガス火力や石炭火力と違って原子力は CO2を排出しない。このような温室効果ガスによって地球温暖化という問題が生じているとするなら、原子力は唯一現実的な解決策なのだ、との主張を展開している。

また、環境保護主義者達が熱烈に支持している風力や波力その他のクリーン電源については、今の段階では英国全体のエネルギー需要を満たすことは到底できないと明言。同紙としては新世代の原子力発電所が英国に建設されるよう政府が働きかけることを期待していると述べ、結論として再び「化石燃料を現実的に代替出来るのは原子力だけ」との見解を強調した。

サンデー・テレグラフ紙の論調は、英国の主要メディアが原子力支持を表明した例としては最も最近のもの。昨年11月に「フィナンシャル・タイムズ」が、欧州の多くの政府は原子力が EU のエネルギー政策で果たす役割を受け入れていないと非難する記事を掲載していたほか、その翌月には「インデペンデント」紙が原子力の環境面における利点を特集するとともに、環境保護派のロビーイスト達に反原子力の立場を考え直すよう呼びかけていた。


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