[原子力産業新聞] 2001年3月22日 第2080号 <1面>

[日本原子力発電] 敦賀3、4号機増設の環境影響で見解示す

日本原子力発電は16日、「敦賀原子力発電所3、4号機の増設計画環境影響評価準備書」に対して寄せられた意見について、同社の見解を取りまとめ、福井県知事、敦賀市長、美浜町長および経済産業大臣に届けを行った。

原電は同評価準備書について、1月17日から2月16日まで縦覧を行うとともに、1月25日には準備書説明会を開催。加えて3月2日までの間、環境保全の見地から、一般の意見募集を実施していた。今回知事らに送付されたのは、それら機会に寄せられた意見の概要と、それに対する原電の見解などをとりまとめたもので、意見は水環境、付着生物防止剤、自然環境、温室効果ガスなど様々な範囲に対し寄せられている。

具体的には、水環境について、「水温の鉛直断面分布図によれば、放水口の沖合40m付近で3度C 上昇となっているが、沿岸部での温度上昇はないのか」との意見に対し、原電は「水温の鉛直断面分布図は放水口からの水深方向の温度分市を示しており、放水口のごく近傍の表層付近では2度C 台となっている」との見解を示した。

自然環境については、「敦賀3、4号機の建設において事前調査データに基づいた緑化がなされ、自然環境の保全が進められるものと期待する」といった意見が寄せられたのに対し、原電は「敦賀発電所は周辺の自然環境と調和した緑化を行うなど環境保全に取り組んで来た。3、4号機においても土地造成跡地には既設の緑化実績および環境調査の結果を踏まえて郷土種を中心とした緑化を行うことにより、自然環境の保全に努める」としている。また、増設による日本の C02 排出量の削減効果についての質問も寄せられ、これについて原電は、稼働率80%と仮定した場合、原料の採掘、建設、輸送、精製、運転等すべての段階を考慮しても3、4号機の年間発電電力量を LNG 火力で賄おうとした場合に比べ、年間1,386万〜1,362万トンの C02 削減効果があるとの試算値を示し、増設は環境面から見ても有効であることを訴えている。


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