[原子力産業新聞] 2001年3月22日 第2080号 <3面>

[フランス] コジェマ、ル・モンドの報道に反論

「外国の使用済み燃料、確実に再処理」

フランス核燃料公社 (COGEMA) は7日、同国の主要な日刊紙である「ル・モンド」が「ドイツの使用済み MOX 燃料が具体的な再処理の予定もないまま仏国内に貯蔵されている」と報じたのに対して、これを否定する声明を発表した。

7日付ル・モンド紙の全面を使って掲載された記事によると、コジェマは現在個別の再処理認可を受けていない、また、緊急に認可申請する予定のないドイツからの使用済み MOX 燃料約50トンをラアーグ再処理工場で貯蔵しているとされている。同紙はまた、この件に関して91年に放射性廃棄物管理法を起草したC.バタイユ社会民主党議員の談話を併記。同議員が「外国の廃棄物を国内に貯蔵することは廃棄物法の精神に反しており、再処理する明確な予定のない使用済み燃料を仏国内に置いておくわけにはいかない」と述べたことを伝えている。

情報の出所について同紙は仏原子力施設安全局 (DSIN) であると主張しているが、最近フランスからドイツヘの放射性物質輸送が再開されることになったのを受けて、反原子力団体の WISE が流した情報に基づいて書かれたのではないかとコジェマでは推測している。同社の反論のポイントは次の通り。

(1) ドイツの電力会社に所有権のある MOX 燃料はドイツのその他の使用済み燃料と同様、再処理およびリサイクルされている。88年から98年までの間にドイツからラアーグに運ばれた MOX 燃料56トンのうち5トンは92年に再処理・リサイクルされ、原子炉で再利用できるよう所有者に返還済み。

(2) ラアーグに搬入される燃料にはすべて、再処理・リサイクル・返還という明確な目的があり、それ以外の目的で貯蔵されることはない。

(3) 当社のすべての原子力施設は公けの政令による規制を受けるとともに、DSIN の承認のもとに操業されている。放射性物質の受入れと貯蔵についてはすべて個別の承認を受けているため、いかなる活動も秘密裏に規制外で実施されることはない。

(4) ドイツの MOX 燃料は既存の認可によりラアーグの最も占い UP2・400 設備で再処理が可能。しかし、当社としては技術上、または合理化を目指した経済上の理由から近代的な設備を備えた UP2・800 か UP3 での再処理を検討しており、ラアーグ工場の認可更新に必要な公聴会開催の手続き文書とともに必要書類一式をすでに提出済みとなっている。

(5) 申請では燃料ごとに個別の書式で追加の認可を求めることが規定されており、公聴会委員会がすでに認可を発給する意志を表明しているほか、現在は DSIN が申請を審査しているところ。

(6) MOX 燃料の処理は技術的に実証済みで、92年にドイツの MOX 燃料から抽出されたプルは新たな MOX 燃料としてリサイクルされている。どの燃料についても所有者は再処理の実施時期について当社と合意することが必要で、ドイツの顧客は今後の再処理を2005年以降に行うとの考えを示している。


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