[原子力産業新聞] 2001年3月29日 第2081号 <1面>

[原安全委] 原子力安全白書、原点に戻り安全確保を

「最前線」の現場重視

原子力安全委員会の2000年版原子力安全白書が27日の閣議で了承された。

今年度の白書は、一昨年の臨界事故を受けての安全確保の考え方を色濃く残しながら、初心に立ち返って「たゆまぬ努力が必要」として、原子力安全確保にあたっての原点を示す内容となった。

白書は第1から第3の各編と資料欄で構成。第1編「原点からの原子力安全確保への取組み」では、「原子力は絶対に安全とは誰にもいえない」との認識のもと、原子力に潜在的危険性があってもその利用が許されているのは、全体としてどれだけの危険・損失の可能性 (リスク) を受け入れて、どれだけの利益 (リターン) を得ようとするのかという判断の結果だとしたうえで、安全確保に向けた不断の取組みや今後の課題を取り上げた。

過去の事故事例の中で特に JCO 臨界事故の発生をめぐって、多くの原子力関係者が実際には考えていない原子力の安全神話がなぜ作られたかを分析したうえで、「常に原子力のリスクを直視し明らかにして、そのリスクを合理的に到達可能な限り低減する」努力を続けなければならないと指摘。潜在的危険を克服、制御し安全確保を図るためには (1) 管理責任者の一元化 (2) 多重防護の採用 (3) 一般化された技術原則の適用−が基本原則であると改めて示し、「現場こそが安全確保の最前線」として、現場の事業者や作業書が安全確保に責任を持てるよう現場環境を整備することが必要だと強調した。

JCO 事故から省庁再編に至る期間を原子力安全への反省と見直しが求められ体制面が整備された期間と位置づけ、原子炉等規制法改正、原子力災害対策特別措置法、原子力安全委員会の事務局機能の強化などか図られたが、今後は新体制の信頼性と安全確保の実効性をいかに高めるかが重要だとした。

また、安全確保活動の目指すべき目標としての「安全目標」をめぐる議論が活発化する中で、原子力安全委員会が昨年9月に安全目標専門部会を設置し本格的に安全目標策定を目指していく考えを述べている。安全確保の基盤整備が重要との観点からは、特に人材問題について、安全研究の着実な実施などにより人材の維持・向上を図り、「安全は開発と並ぶ価値として正当に評価されるべき」であると強調した。

さらに、原子力の安全確保は国民の信頼を得られるものである必要があり、原子力関係者の日々の努力と実績の積み重ねと情報公開が何よりも重要と指摘。理解しやすい情報公開に努めるよう求め、国民に対しても受け取った情報に基づき、原子力安全を自らの問題として考えるよう期待している。国民の関心の高さが安全確保に大きな力となる点を訴えたうえで、原子力安全委員会は「正直」「公正」「能力」の観点から、安全確保の活動に最善の努力を継続する決意を示した。白書はこのほか、第2編で「平成12年度の動き」を、第3編で「原子力安全確保のための諸活動」をそれぞれ紹介している。


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