[原子力産業新聞] 2001年3月29日 第2081号 <2面>

[東京電力] 柏崎刈羽立地で経済効果が大

3兆5,000億円の効果

東京電力はこのほど、柏崎刈羽原子力発電所が新潟県経済に及ぼした影響について調査した結果を明らかにした。

この調査は東電原子力研究所か長岡市のホクギン経済研究所に委託して行ったもの。柏崎刈羽発電所1号機の建設着工から7号機完成までの約20年間の経済的影響を、シミュレーションなどにより調べた。波及効果の測定には同研究所が開発した地域計量経済モデルを利用した。今回採用したシミュレーションでは、電源三法交付金や核燃料税、送電設備建設工事額を外生変数として用いたことが特徴。計量経済モデルを基に、新潟県の実質経済状況と発電所がないと仮定しシミュレーションした経済を比較し、その差異を毎年ごとに経済的影響として算出した。

柏崎刈羽発電所の建設に関わる総投資額は、着工した1978年度から97年度までに累計で約2兆8,500億円。このうち、建設工事や資機材調達などの県内に関わる投資額は約6,890億円だったとしている。また、電源三法交付金や核燃料税は合計約1,680億円にのぼった。

今回の調査は、97年度時点で (1) 県の人口 (2) 県の従業者数 (3) 県内総生産 (4) 県民所得 (5) 県の財政−への波及効果がどのようであったかを明らかにしている。

同発電所建設が県内の人口と従業者の増加に影響を及ぼした点については、97年時点の県全体の人口は約249.2万人で、発電所がないとシミュレーションした場合の人口は約246.2万人だったことから、約3万人の人口増が波及効果として現れたという。一方、県内従事者数は97年時点で約133万人。シミュレーションでは約130.7万人となり、約2万3,000人が発電所建設により増えた数だとの結果が得られた。

県内総生産に及ぼした影響は、20年間の累計経済効果を約3兆5,000億円と計算した。97年度の実際の総生産約9兆2,510億円に対して、発電所がなかったと仮定すると総生産は約8兆7,000億円だっただろうとの数字をはじき出し、約5,500億円の増額が見られたとしている。内訳は、建設業で約802億円、サービス業約578億円、製造業約352億円との結果を示した。

同発電所建設があったためにもたらされた県民所得の増額は約3,636億円だったと計算から出されている。97年度時点の県民所得は約7兆1,450億円だった。こうしたことから新潟県の財政にも好影響を及ぼしたと考えられ、97年度の県税額約2,679億円に対して、シミュレーション値では約2,478億円。県の歳入も1兆2,472億円の97年度実績で484億円が増えたとの計算結果が得られている。


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