[原子力産業新聞] 2001年3月29日 第2081号 <4面>

[原研] 災害対応ロボットを開発

情報収集、軽作業向け

日本原子力研究所は、原子力施設事故時に、事故現場に出動して情報収集や軽作業を行う「情報遠隔収集ロボット」 (愛称・RESQ=レスキュー) を開発し、14日に公開した。

原子力施設の事故では、JCO 臨界事故のときのように、放射線量が高いため人が事故現場に接近することが困難な場合が予想される。このため、人に代わって事故現場に接近し、事故の原因究明やその収拾・復旧に必要な情報を収集して安全な場所に待機する人間に送信するロボットの整備が急がれていた。このような事故時対応には、役割を分担する複数のロボットが必要であり、原研では、現状の技術レベルで実用可能な機能を集約した3種類のロボットを開発した。いずれも約100グレイ (吸収線量) の放射線に耐え、有線・無線での遠隔操作が可能だ。

そのうち、事故直後に情報を収集するため開発したのが初期情報収集ロボット (RESQ-A・2台)。小型軽量 (約50kg) の遠隔自走式ロボットで、現場の放射線量、映像・音声、機器類の温度を収集できる。毎時2kmで走行し、高さ50ミリ、幅200ミリの段差を乗り越えられる。

また詳細情報収集ロボット (RESQ-B・1台) は扉の開閉、階段の昇降等を行って事故発生場所に接近し、より広範な情報 (放射線量、映像・音声、機器類の温度、室内の雰囲気、障害物等の位置) を収集する遠隔自走式ロボット。マニピュレータ1台を装備しており、最大斜度40度の階段昇降が可能、高さ200ミリ、幅200ミリの段差をのり越える能力がある。

試料等情報収集ロボット (RESQ-C:1台) は扉の開閉、階段の昇降等を行って事故発生場所に接近し、汚染情報の収集や試料採取 (気体・液体・固体・表面汚染試料の採取等) を行う遠隔自走式ロボットで、マニピュレータ2台を装備している。

各ロボットの操作は操作盤を備えた専用のコンテナ内で行われ、得られた情報はコンピュータで集中管理される。RESQ-A は機動性を重視し小型軽量で、可搬型の操作盤を別途備えており、事故直後に小型乗用車等で現場に急行することが可能だ。


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