[原子力産業新聞] 2001年4月12日 第2083号 <2面>

[原産] 青森で第34回年次大会

地球、エネ、環境がテーマ

第34回原産年次大会が「21世紀の原子力−地球、エネルギー、環境の保全のために」を基調テーマに、24日 (登録およびレセプション) から27日の日程で青森市を中心に開催される。主会場となる青森市文化会館のほか、26日午後には会場を六ヶ所村文化交流プラザに移して開かれる。既存の燃料サイクル関連施設に加え、再処理工場建設や原子力発電所の新規立地でますます注目を集める青森地方での大会だけに、関係者も大きな関心を寄せている。今大会も地元などの多くの市民や専門家に広く参加を呼びかけていて、「開かれた総合討論の場」としての大会を目指す。今週と来週にわたり、今大会の各セッションのねらいや見どころを紹介する。


開会セッション

午前の開会セッションでは吉田豊大会準備委員長挨拶、西澤潤一原産会長所信表明に続き、政府機関から、藤家洋一原子力委員長による所感、青江茂文部科学省文部科学審議官および河野博文経済産業省資源エネルギー庁長官からの挨拶が予定されている。

引き続き、4件の特別講演が行われる。まず、開催県を代表して木村守男青森県知事が「原子力開発と地域発展」と題して講演。木村知事は、大会の地元開催を強く希望していたこともあり、一堂に会した原子力関係者を前に知事の講演が注目される。同県の目指す地域開発のビジョンは何か。核燃料サイクル事業を始め原子力が青森の将来発展にいかに寄与するのか。こうした点に関心が集まる。

米国人作家R.ローズ氏の講演「文明と原子力開発の意義」も注目点のひとつ。同氏は「原子爆弾の製造」でピューリッツァー賞を受賞した作家で、昨年は著名な米国誌「フォリン・アフェアーズ」に原子力の必要性を訴えた論文を掲載。米国でも原子力発電の役割が見直されつつあるが、温暖化対策の視点を交えながら、文明の発達と不可分なエネルギー消費の関係を語る。

このほか、M.エルバラダイ国際原子力機関 (IAEA) 事務局長は「IAEA の今日的役割と日本への期待」、A.ローベルジョン・フランス核燃料公社 (COGEMA) 会長が「フランスの原子力開発と国際戦略」を講演する。

セッション1「原子カ−地球環境になぜ必要か」

このセッションでは、地球環境保全の観点から原子力開発利用をめぐる先進国や途上国の政策に焦点をあてながら社会の持続的発展のためいかに原子力が有効かを、パネル討論を通して考えていく。昨年開かれた COP6 では CO2 削減の効果的な技術として原子力を認めるかをめぐって、日本と欧州などで意見が分かれた。セッションでは、こうした点を踏まえながら、森嶌昭夫地球環境戦略研究概関理事長が「地球温暖化防止の対策とは」を基調講演。続くパネル討論で、L.エチャバリ経済協力開発概構/原子力機関 (OECD/NEA) 事務局長、A.ハワード米原子力エネルギー協会 (NEI) 上級副理事長、宮本一関西電力副社長、李東暉中国国家原子能機構副主任らが環境保全に果たす原子力の役割をあらためて検証する。

午餐会

25日12時半からホテル青森「孔雀の間」で行われる。佐々木誠造青森市長挨拶に続き、特別講演が予定されている。今回は、佐原真国立歴史民俗博物館館長が、青森市内にある三内丸山遺跡にちなんで「縄紋人と私たち」をテーマに、縄紋人の暮らしを通して現代人の生き方や、今日の我々が失ったものは何かを問いかける。

市民の意見交換

25日夜6時からは恒例となっている「市民の意見交換の会」が催される。地元青森放送の米澤章子放送部長をコーディネーターに迎え、参加者が市民の立場から自由に意見を述べあう。

なお、年次大会開催にあわせ、25日昼には原子力に従事する若い世代の企画・運営により、「原子力を考える若い世代のフォーラム」が行われる。現状や課題について自由に論じ合い、今後の活動に活かそうというねらいだ。

大会参加費は、全てのセッションに参加の場合は4万5,000円で、六ヶ所村セッションを除く場合は4万3,000円 (いずれも会員価格)。参加は当日会場でも受け付けている。
(次号に続く)


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