[原子力産業新聞] 2001年4月26日 第2085号 <2面>

[原環センター] 2年後をメドに中期業務方針決める

高レベル廃棄物処分技術の基盤を整備へ

原子力環境整備促進・資金管理センターはこのほど、高レベル廃棄物処分をとりまく状況の進展にあわせ、2年後を見通した中期的な経営目標と業務計画を定めた。財政基盤の充実や組織のスリム化などを柱にすえる考えだ。

昨年「特定放射性廃棄物の最終処分に関する法律」が制定されたのを受け、処分事業の実施主体が発足したのに伴い、同センターは事業に必要な資金の管理にあたる機関に指定された。こうした中、設立から25年を迎えて、2003年に向けた経営目標と業務方針を策定。経営体質の改善を図りつつ、放射性廃棄物処分に関する技術基盤の整備や国民の理解促進に寄与する調査研究を中心に業務を展開していく。

2003年度の総事業費は昨年度の80%規模の45億円程度を見込み、国から約35億円、電力等から約7億円などの適正規模で受託事業を進めることにしている。人員についても研究部門で2年後をめどに現在より6名を減員する一方、技術・知識の継承を確保するためプロパー職員の充実により体質強化につなげる方針だという。

最終処分に関する調査研究は従来の低レベルや高レベルといった廃棄物の種別にとらわれない横断的な研究推進を図ることにした。 (1) 今後の低レベル廃棄物の埋設事業や将来の高レベル廃棄物の安全規制制定などを対象とする安全規制・基準等の整備 (2) 国内外の最終処分に関する情報の整備と理解増進方策 (3) 最終処分の周辺技術や技術基盤の整備・高度化−に重点的に取り組んでいく。これにあわせ、担当部門を中心に組織改革を実施。「事業環境整備研究」「基準・安全研究」「情報技術」の3プロジェクト制を導入することで、合理的な廃棄物処分調査研究に力を入れる。

サイクル機構などの研究で処分概念が整い、実施主体として原子力発電環境整備機構も設立されたことから、同センターでは、「これからは高レベル廃棄物最終処分の社会的受容性を高めるため、公正・中立な調査研究機関として我が国の放射性廃棄物対策の進展に積極的に貢献したい」としている。


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