[原子力産業新聞] 2001年4月26日 第2085号 <6面>

[レポート] ポーランド、実用プラントが運転開始

電子線で脱硫・脱硝

国際原子力機関 (IAEA) がポーランド政府、同電力公社とともに建設を進めてきた電子線法を用いた火力発電排ガスの脱硫・脱硝の実用プラントが完成し、運転を開始した。

同プラントは、約18万kW 発電所の排ガスの半量を浄化するもので、スチェチェンの発電所に設置された。石炭が一次エネルギーの90%以上を占めるポーランドにとって、この技術は環境改善のためにきわめて重要なものである。

すでに2基目の実用プラントを東部ポーランドに建設する検討も始まっている。

今回のプラントは資金的には60%をポーランド政府が負担、40%を IAEA と日本政府が支援した。技術的にも日本原子力研究所を通しての日本の協力が高く評価されている。

主要機器については、電子加速器は日本、電気集塵機はスウェーデンからの輸入だが、反応器や冷却塔などはポーランドの国産、ゼネコンもポーランドのプラント会社である。見学した印象では、各機器の製作、据付、結合配管、遮蔽、コンピューター制御システムなどみごとに製作されている。

今年3月8日に現地で完成式典が行われ、エルバラダイ IAEA 事務局長、ポーランド原子力委員長、ドルナ・オドラ電力公社社長ら多数が出席、その後ワルシャワでの祝賀会には日本の上田特命全権大使ら多くの政府要人が出席した。

なお現在、加速器の電源に一部不具合があり、同プラントは50%出力で運転が続けられていて、相応の脱硫・脱硝率が得られており、肥料である副成品も生産されている。

【町末男】

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