[原子力産業新聞] 2001年5月10日 第2086号 <2面>

[放医研] 中期計画をとりまとめ

人体影響研究など効率的に推進

4月に独立行政法人としてスタートを切った放射線医学総合研究所はこのほど、10年スケールでの中期目標をとりまとめて原子力委員会に報告した。

それによると (1) 患者の身体的負担の少ない放射線診療の実現 (2) 放射線利用に伴う便益、放射線の持つ特性、放射線の人体への影響等に対する国民の正確な理解の促進 (3) 放射線の人体への影響と放射線障害治療に関する研究成果の世界への発信と緊急被ばく医療体制および国際的な放射線防護基準の枠組み整備への貢献−を基本的な目標として、重粒子線によるがん治療などの放射線の先進的な医療や人体への影響を計画的にかつ効率的に推進し、研究成果の活用促進などに力を注いでいく方針が示されている。

そのうち、がん治療については、重粒子線がん治療の定着をはかるほか、疾患別に最適な照射法を開発するなど難知性のがん患者の長期生存率を現状から20%以上引き上げるなどの目標を置いた。

また JCO 臨界事故の教訓を踏まえ、放射線障害研究を精力的に進めることとし、5年間メドの目標に、高線量被ばくの影響と障害の発生メカニズムの研究を通じた急性放射線障害に対する新しい治療法の実験レベルでの確立などをあげ、さらに現在原子力安全委員会が検討している緊急被ばく医療体制の中核組織として適時的確な対応を行う方針としている。


Copyright (C) 2001 JAPAN ATOMIC INDUSTRIAL FORUM, INC. All rights Reserved.