[原子力産業新聞] 2001年5月17日 第2087号 <3面>

[米国] エネ省、処分場候補地で4報告書

年内に大統領への勧告目指す

米国エネルギー省 (DOE) は4日、使用済み燃料など高レベル放射性廃棄物 (HLW) の地層処分に関するユッカマウンテン計画の節目となるサイト特性に関する4つの報告書を公表した。これらは一般市民からのコメントや公聴会とは別に、DOE 長官がユッカマウンテンを処分場としてブッシュ大統領に勧告するかどうかの検討基盤の一部となるもので、使用済み燃料を長期に渡り安全に隔離することが可能だと示唆している。現在までのところ、大統領への勧告は年内にも行われると見込まれている。各報告書の内容は次のとおり。

(1) 「ユッカマウンテン科学エンジニアリング報告−サイト勧告の検討をサポートするための技術情報」=最新の科学エンジニアリング調査の結果や処分される廃棄物の形態、処分場と廃棄物パッケージの設計、処分場の潜在的な長期挙動に関する最新の評価結果などをまとめた900頁の報告書。結論や勧告などは含めておらず、サイト勧告に関する一般市民からの意見聴取期間に公開される。また、この情報は DOE 長官が大統領にサイト勧告する際に盛り込まれることになる。

(2) 「ユッカマウンテンを処分場とする場合の環境影響声明書 (EIS)・案文に対する補足」=科学エンジニアリング調査に関係する環境影響の評価において、この補足報告はユッカマウンテンの半径20km以内に居住する市民の年間平均被曝線量が従来の見積りより低くなることを発見した。最初の1万年間はユッカマウンテンに処分された使用済み燃料からは何の漏洩も放射もないと考えられるが、その後の被曝線量は年間120ミリレムと見積もられる。被曝がピークに達すると思われるのは処分場が閉められた後、55万年たってからになると予想される。この補足は今月末から6月初旬にかけてネバダ州内で3回開催される公聴会における基盤情報となる予定。

(3) 「民生用放射性廃棄物管理プログラムがシステムとして機能する全期間における経費分析」=83年に放射性廃棄物政策法が発効してから2000会計年度までに、このプログラムのために67億ドルが費やされた。2001会計年度から潜在的な処分場が永久閉鎖される2119年までに必要な費用は約493億ドルと見積られている。

(4) 「放射性廃棄物基金の適性評価」=22頁にわたる分析報告書で、現在のキロワット時あたり1.0ミル (0.001ドル) という徴収額は適切と判断。この額は今後も変更しないよう勧告している。


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