[原子力産業新聞] 2001年5月17日 第2087号 <3面>

[独E・ON社] 英の電力会社買収へ

欧米での台頭ねらう

昨年、ドイツの VEBA 社と VIAG 社の合併により同国最大の原子力発電会社となった E・ON 社は先月9日、英国の大手電力であるパワージェン社を買収する計画を明らかにした。

同社がパワージェン社株に条件を付けずに提示した価格は1株あたり12.19ユーロ(1363円)。全ての株式を購入した場合、総額はパワージェン社の企業価値が153億ユーロなのに対して82億ユーロ (9184億円) ほどになるが、流動資金と信用貸付限度額によって買収資金は楽に調達できると明言している。首尾よく買収が成功すれば、同社は電力販売量3230億kW 時、顧客数3000万の世界でも第2位の規模となるが、目指すところは実質的に初の汎欧州エネルギー・サービス供給業者となることだと強調。さらには、米ケンタッキー州にある LG&E エナジー社 (パワージェン社の子会社) を通じて米国で新たな成長のチャンスを得る足掛かりとし、最終的には同国のエネルギー市場における主導的な地位をも獲得したいとの考えを明らかにしている。

今回の E・ON 杜の動きに対してパワージェン社のE.ワリス会長は、「E.ON 社だけでなく当社の株主や従業員、顧客にとっても願ってもない話」と歓迎。同社理事会もこの取り引きを全会一致で勧告していることを認めた。E.ON 社の付け値は今後、欧州委員会および英米両国の複数の関係規制当局から承認を得る必要があるが、同社としては来年の春までに取り引きを完了させたいと希望している。


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