[原子力産業新聞] 2001年5月24日 第2088号 <2面>

[総合科学技術会議] 重点分野推進戦略エネ・プロジェクト開く

総合科学技術会議の重点分野推進戦略専門調査会エネルギープロジェクト (リーダー・茅陽一慶応大学客員教授) は21日、東京都内で第3回会合を開催し、23日に行われる同会議重点分野推進戦略専門調査会に報告するエネルギープロジェクトの調査・検討状況について意見交換を図った。

この日の会合では、同プロジェクトをめぐって、 (1) エネルギーは温室効果ガス排出源の大部を占め、地球環境問題と密接不可分な関係にある (2) エネルギーは国民生活や経済活動を支える基盤であるが日本のエネルギー供給は脆弱 (3) エネルギー市場の自由化と経済効率向上によるコスト低減が重要課題−だと現状を認識。地球環境保全とエネルギー安定供給、ならびに経済成長のいわゆる3つのEを同時に達成することがエネルギー問題解決の基本目標だとの認識を示したうえで、こうした目標の達成を困難にしている要因として、エネルギー市場の自由化や需要の停滞を含めた社会経済的な側面が見られるとの考えが示された。

今後エネルギー分野で何を重点的に取り組むべきかについては、これまでの議論に基づき、「脱炭素化 (化石燃料依存からの脱却)」、「効率化」「多様化」が重要であるほか、国際貢献や産業創出の視点も取り入れられる必要があるとの認識で大筋意見の一致が見られた。

さらに、重点化を考慮すべき領域や項目として、社会とエネルギーシステムの関わりを正面からとらえることや、水素エネルギーの利用を中心とした社会システム構築の可能性の模索、エネルギー基盤整備などを挙げたうえで、長期的な開発期間を要するエネルギー生産量の大きな研究分野についても、重点的に取り組む配慮が必要などとする基本的考え方をまとめて、提示することにした。

総合科学技術会議は、3月に決定した科学技術基本計画が着実に遂行されるよう専門調査会を設けて、短期的には政府予算編成作業に反映するため次年度の重要施策、資源配分の考え方を示していくとともに、長期的には重点分野の研究開発に推進戦略を策定することとしている。


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